解体される敦賀セメントの煙突=1月30日、福井県敦賀市泉

 福井県の国道8号を福井市方面から南へ走ると、敦賀市街地へ入る手前に突如大きな煙突が現れる。入り組んだ敦賀セメント(敦賀市泉)の工場敷地内から突き出る煙突は、どこか懐かしく、映画に出てくるような雰囲気だ。観光客らに敦賀が近いことを伝える「ランドマーク」にもなっていた名物煙突は、建設から半世紀がたち老朽化したことから、2月1日から解体される。

 同社は1935年に創業し、国内外へ年間約70万トンのセメントを供給している。煙突はコンクリート製で高さは50メートルあり、自家発電に用いるボイラー室用に68年8月完成した。

 煙突は内側に耐熱れんがが貼られた構造で、煙をより高く排出するため先端に向かって細くなっている。地上付近の直径は約3メートル、頂上でも約1・5メートルある。

 燃料として使っていた重油の価格高騰により電力供給を受けるようになったため、煙突が実際に使われたのは実はわずか6年ほど。それ以降は、飛び立つワシを描いた社章と「ツルガセメント」の文字が赤く浮き出ている煙突は、大きな広告塔の役割を担ってきた。

 解体は10年ほど前から検討してきたが、今回老朽化のため安全を考慮し決断した。解体には根元から一気に倒す工法などがあるが、別の生産設備が近接していることなどから、手作業で解体するという。筒の周囲に約5メートル四方の足場を組み、上部から工具で数十センチずつ撤去。残りが地上10メートルほどになったら、重機で崩す計画で、3月末に完了する予定。

 藤本朋二社長は「歴史ある煙突なので思い入れのあるOBも多いと思う。取り外した社章は工場見学者向けに展示するなど、有効な活用策を考えたい」と話していた。

関連記事