【論説】全国から許可量を大きく超えるごみが持ち込まれた敦賀市樫曲の民間最終処分場の対策工事費を巡り、同市が負担した費用を支払うよう一部の排出元に求めた訴訟が和解した。長きにわたる費用負担問題は転機を迎え、他の排出団体とも協議を進めている。一方、浄化対策は継続中で施設内の汚水が基準値以下となる時期を見込めない上、安全宣言が出されたとしても処分場のその後の保全管理の在り方など課題は多い。問題解決は道半ばといえる。

 処分場を巡っては、2000年に廃棄物処理業者による大量のごみの違法搬入が発覚。県と市は06年度から12年度まで約100億円をかけ、河川への汚水漏れ防止などの対策工事を代執行し、市は約20億円を負担した。今回の訴訟は、排出元の60団体の中で、排出量が多く支払いに応じなかった岡山県3市町(旧津山圏域東部衛生施設組合)を相手としたもので、昨年10月に名古屋高裁金沢支部が和解を勧告し、約2億円で和解が成立した。

 一方、119万立方メートルもの大量のごみが搬入された処分場の浄化については出口が見えない。これまで県と市は雨水流入防止のため周囲に遮水壁を設け、遮水シートで覆うなど対策を実施。その後も汚水の浄化処理などを続けており、年間約1億5千万円の費用を市が約3千万円、残りを県と国が負担している。

 汚水の濃度がひどい箇所の遮水シートをめくって洗い出すなどの対策で、有害物質の検出は年々減っているが、水質指標の生物化学的酸素要求量(BOD)と全窒素の2項目が国の基準をクリアできていない。

 県などの調査によると、BODについては基準値の水準まで下がってきているが、全窒素は昨年5月時点で基準を大きく超える数値を検出。基準値内に収まるまで何年かかるのか、いつまで管理し続けなければならないのか、現時点では判断が付かない状態という。産業廃棄物特別措置法の期限は22年度で、それまでに安全宣言できない場合には国の財政支援が打ち切られ、新たな財源問題が出てくる可能性もある。

 また、安全宣言が出されたとしても、その後に処理場をどう保全管理するのかは未定だ。通常なら放置し山に戻すなどの措置が多いが、樫曲では木の芽川との間に設置した遮水壁を放置しておけば雨水が一気にあふれ出すなどの可能性もある。遮水シートや壁、水浄化施設などを撤去した場合、将来的に再び汚水が検出される恐れはないのかなど、費用面の問題とともに環境面の不安が浮上しかねない。県と市は環境保全を第一に、連携を深めながら一つ一つ解決に向けた努力を続けてほしい。

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