【論説】医学部入試を巡って女子や長期浪人生を不利にする得点操作など不正が発覚した東京医科大に対し、文部科学省は2018年度の私学助成金を全額カットし不交付にするとした。同様の不適切な扱いなどがあった他の7校についても減額が決まった。

 東京医大では入試に対する不信感もあって、今年春の入学を目指す志願者が前年に比べ大きく減少したとの報道もある。助成金の減額に加え、受験料収入減という経営を揺るがす事態に陥る。多くの受験生の人生を翻弄(ほんろう)した代償は重いと言わざるを得ない。

 東京医大の場合、直接の不交付理由は医学部入試に絡む汚職事件で前理事長らが起訴されたこと。助成金の規定で学校経営に関わる刑事事件など不祥事を起こした大学は減額や不交付となる。不交付だと翌年度分も交付されず、2年後の減額割合は75%、3年後は50%、4年後は25%で、全額交付になるのは早くても23年度からになり、影響は少なくないだろう。

 問題は、東京医大の不正入試に関する第三者委員会がまとめ、昨年末に大学側が公表した第3次調査報告書で新たな指摘を受けたこと。受験生の一人が予備校で「試験問題が手に入った」と吹聴していたとの情報があったとしている。

 さらに、特定の受験生への優遇措置を巡って、国会議員からの口利きが恒常的に行われていたこと、「寄付は3千万円を用意するつもり」などと記した前理事長宛の手紙が見つかったことなども指摘している。

 柴山昌彦文科相は再調査するよう指導したが、あくまで「大学において」とした。問題の発端が自省の幹部への贈収賄事件だっただけに、弱腰の対応に映る。大学側にはうみを出し切る覚悟を求めたい。

 不適切入試が確認された岩手医科大、順天堂大、昭和大、北里大、金沢医科大、福岡大は助成金の減額率を25%、アメフット部の悪質な反則問題もあった日本大は35%とした。

 文科省は過去のケースなどを参考にしたという。だが「女子の方がコミュニケーション能力が高い。男子を救う発想で補正した」「裁量の範囲で不適切ではないと考えた」などとした弁明には罪の意識は感じられなかった。公平公正であるべき入試への信頼を失墜させた重大さを思えば、一層のペナルティーを課すべきだったのではないか。

 文科省から「不適切な可能性が高い」と指摘された聖マリアンナ医科大については、第三者委による調査自体を拒否しているという。調査した上で潔白を主張するならいいが、これでは公平性が保たれない。

 東京医大に関する調査報告書は、付属病院などで結婚や出産による女性医師の離職率が高いことから、女子の合格者数を抑制する必要があったと指摘。その上で女性医師が働きやすくするなど改善を試みるべきだとした。さらに「我が国の医療機関や医学部に共通する課題」とした点を関係者は重く受け止めるべきだ。

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