【論説】通常国会がきょう開幕する。政府、与党は天皇の代替わりや参院選を控え、野党との対決が想定される法案を極力少なくするなど、政府提出法案を絞り込む方針で「安全運転」に徹する構えとされる。

 一方、過去最大額となる2019年度一般会計予算案は大盤振る舞いの是非が問われる。昨年末に不正が発覚した厚生労働省の「毎月勤労統計」問題や、4月導入の改正入管難民法に関する具体的な支援策などは国民の関心も高く争点になる。安倍政権が描く対決ムードの回避は困難だ。

 政府、与党は通常国会で18年度第2次補正予算案に続き19年度予算案の成立を目指す。一般会計予算案総額は101兆4571億円と7年連続過去最大で、当初予算として初めて100兆円の大台を突破した。

 10月に8%から10%に引き上げられる消費税率対策として、キャッシュレス決済時の5%のポイント還元など、税収を上回る対策費の妥当性が論議の的になる。膨れ上がる防衛費や、軒並み増額された公共事業や農林漁業などの予算も焦点。統一地方選や参院選を前にした「ばらまき予算」との指摘は免れず、財政健全化の道筋も問われる。

 安倍晋三首相が出席する予算委員会などで野党は統計不正問題で攻勢を強めるはずだ。厚労省の特別監察委員会による調査報告を巡っては、省職員が関係者の聞き取りに関わるなど、与野党から「お手盛り調査」との批判が上がる。

 昨年の通常国会では、財務省の決裁文書改ざんが発覚。裁量労働制に関する厚労省の不適切データ処理など、国会軽視ともいえる不祥事が相次いだ。大島理森衆院議長は所感で「民主主義の根幹を揺るがす問題」と指摘した。劣化する官僚組織、安倍政権の統治のあり方が問題視されている。

 統計不正問題も政策判断を誤らせかねない点で根は同じだ。政府は外部有識者による異例の再調査を行う方針だが、対応を誤れば、第1次安倍内閣の退陣につながった「消えた年金問題」の二の舞いになる。

 外国人労働者の受け入れ拡大に向け、昨年成立した改正入管難民法に関して先日、衆院法務委員会の閉会中審査が開かれたが、法施行まで2カ月というのに、政府の答弁は具体性に欠けた。地方自治体からは「対応を丸投げされるのでは」との不安の声が上がる。

 統一選や参院選を控え安倍政権は人手不足が深刻な地方などへの成果としたい考えだったが、大都市圏への流出への対応策も示されず、企業には不満が渦巻いている。

 統一選の年の通常国会は、国会議員が地元へ応援に入るため、予算審議後は事実上の休戦状態になる。4月30日の天皇陛下の退位、翌5月1日の皇太子さまの新天皇即位を控え、与野党ともに対決ムードは避けたいところだろう。だからといって国民生活に深く関わる法案や不祥事の真相解明など熟議は欠かせない。安倍政権は逃げずに向き合わなければならない。

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