【論説】早期の全線開業は実現するのか。北陸新幹線の大阪延伸に向けた協議が今年、重要な局面を迎える。最大の課題、未着工の敦賀―新大阪間の建設財源の確保についてである。

 自民党の北陸新幹線整備プロジェクトチーム(PT)が昨年末に設置され、いよいよ議論が本格的に始まる。座長の高木毅衆院議員(福井2区)は「1年ぐらいで一定の結論を得たい」と意欲を示している。これまで以上に政治力を結集、議論を加速して、よりよい結論を導かねばならない。

 ■膨大な建設費■

 国の整備新幹線予算が近年700億円台なのに対し、敦賀―新大阪の概算建設費(15年間)は2兆1千億円にも上る。金沢-敦賀が約4年後に開業しても現在の建設スキーム(枠組み)では、2031年春予定の北海道新幹線札幌開業が終わらないと、敦賀以西整備の国費が回ってこない仕組み。着工から完成までに15年程度かかるとされ、新規財源を見つけないと全線開業まで30年近くが必要になり、“敦賀止まり”が長く続くことになる。

 これではいかにも遅すぎる。福井県や大阪府など沿線自治体や経済界は、新大阪までの建設費を別枠で確保し、札幌開業とほぼ同時期の早期に全線を整備するよう求めている。敦賀開業後すぐに敦賀―新大阪の工事に入れるかが重要だ。財源確保の議論に残された時間は少ない。

 今春から4年ほどかけて行われる環境影響評価(アセスメント)が終わる前に、国に着工認可を得なければならない。条件の一つが建設財源の見通し。新規着工の財源捻出は容易ではないが、金沢開業で明らかになったように北陸新幹線の延伸効果は大きく、官民で財源確保の知恵を出す時期に来ている。

 ■重い役割■

 敦賀以西の全ルートが決まったのは17年3月。しかしその後財源の議論は行われず、昨年8月ようやく自民党内にワーキングチーム(勉強会)ができた。代表世話人を務めたのが高木氏。この勉強会が建設財源を論議するPTの発足につながった。

 PTは北海道、九州新幹線を含めた幅広い議論をする自民党の整備新幹線等鉄道調査会(会長・稲田朋美衆院議員=福井1区)の下部組織として設置された。県内からは座長の高木氏のほか、顧問に稲田氏が就いている。

 稲田氏は「敦賀開業までに、新大阪までの工事認可を得る必要があり、PTは非常に重要なチーム」と今後の議論に期待する。敦賀開業が近づく今、早期延伸が実現するかどうかはPTでの結論次第といえる。

 ■JR西の動向■

 新幹線の建設費は、JRが国側に支払う施設使用料の貸付料を充てた上で、残りを国と沿線自治体が2対1で負担する。つまり、早期開業に向けてJR西日本が貸付料の増加に積極的に応じてもらえれば、議論も前進するだろう。

 そんな中、昨年末にはJR西の来島達夫社長は敦賀以西について「貸付料の現行スキームが全てだと思っていない」と述べ、貸付料の負担増に前向きに対応する意向を示した。早期開業に協力する姿勢を示したのは大きく、JR西の動向に注目しておきたい。

 政府の19年度予算案で近年755億円だった国費が792億円に増額されたことも大きい。金沢―敦賀などの建設費の上振れに対応するものだが、今後の国費の段階的な増額に向け、期待が持てるポイントである。

 正念場を迎える敦賀以西の建設財源。関西を巻き込んだ積極的な取り組みが問われる1年になる。

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