【越山若水】この時期の夕方5時半近くだから、もう暗くなった中での出来事だった。越前市の少年が、4歳の男の子を保護したと先日の本紙が伝えた▼冷たい雨が降り、少年が男の子の様子に異変を感じなければどうなっていたか。少し一緒に歩いたところで動き回るのをやめて、早めに通報した判断も見事である▼子どもへの声掛けは今、不審者と扱われる心配があり、それが無理からぬ面もある。けれど少年は人ごとと放っておかなかった。誰でもができることではない▼少年の記事と同じ日、兵庫県明石市の女性の話をネットで見かけた。乳児を含む子どもたちを育てる女性は、保健師さんから電話を受け、眠れなくてつらい、との窮状を訴えた。すると保健師さんが2人で駆け付けてきた▼2人は半ば強引に女性を寝室に追いやり、子どもたちの面倒を見た。その間女性はぐっすり眠ることができた。申し訳ないと言う女性に掛けた保健師さんの言葉が格好いい▼「子どもは一人じゃ育てられない。みんなで育てたらええんよ」。これはどうやら、「こどもを核としたまちづくり」を掲げる明石市の理念でもある▼見知らぬ男の子に、よく似た年頃の弟を重ねて家族のように接した少年の姿と、どこか通じている。明石市は近年、出生数も若い世代の転入数も増えているらしい。子育てをする場所として選ばれているのだろう。

関連記事