白衣と布袍を着て車の運転席に座る僧侶。仏教界で法事のため僧衣で運転する機会は日常的にあるという=福井県福井市

 福井県内の40代の男性僧侶が僧衣を着て福井市内で車を運転中、操作に支障があるとして県警に交通反則告知書(青切符)を切られた問題で、福井県警は1月26日、「証拠が十分に確保できず違反事実が確認できなかった」として、反則金の支払いを拒んだ男性を書類送検しない方針を明らかにした。

 県警によると、駐車違反などで青切符を切られた場合、約1カ月後に通告書と納付書が郵送され、それでも納付しないときは検察庁に書類送検し刑事手続きに移行する。その後に罰金刑などになる。

 県警交通指導課は26日までに男性宅を訪れ、「改めて県警本部で内容を精査したところ、証拠の確保が不十分で違反事実が確認できなかったため、本件については送致しないこととした」と伝えたという。

 男性僧侶は浄土真宗本願寺派に所属。青切符を切られた時、白衣の上に、簡素な僧衣「布袍(ふほう)」を着ていた。布袍は僧侶らにとって移動時などに着る普段着のような存在で、布袍で運転することもよくあるという。他の宗派では「改良服」などとも呼ばれている。

 同派の西本願寺(京都市下京区)によると、男性僧侶は昨年9月、福井市内の県道を軽乗用車で走行中、交通取締中の警察官から停車を指示された。青切符には「運転操作に支障のある和服を着用して運転」と書かれ、反則金6千円を納めるよう求められた。

 交通指導課はこれまでの取材に対し、男性はくるぶしまでの長さの白衣の上に、両袖の袖丈が約30センチの布袍を着用していたと説明。(1)白衣の裾幅が狭く、両脚の太もも、膝、足元が密着しているため両足が動かしにくく、とっさのときにブレーキ操作を的確にできない恐れがあった(2)布袍の両袖が垂れ下がっており、袖がシフトレバーやハンドル周辺の各種レバーに引っかかる恐れがあった-ことから青切符を切ったとしていた。

 一方、男性は納得がいかないとして、反則金の支払いを拒否し、浄土真宗本願寺派も反発する事態に発展。報道で大きく取り上げられて以降、県警には「衣服に関する取り締まりの基準を教えてほしい」といった問い合わせや取材が県内外から殺到していた。

 この問題を巡ってはインターネット上に、各地の僧侶が僧衣で二重跳びやジャグリングなどをして、柔軟な動きができることをアピールする動画が「#僧衣でできるもん」というハッシュタグ(検索目印)を付けてSNSに続々とアップされ、話題となった。

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