福井市役所本館1階に設置された中核市移行を発信する看板(左写真)=1月23日、福井県福井市

 「福井市は中核都市になります」。今月初め、福井県福井市内で開かれた会合である県議会議員があいさつした。これを聞いて「あれ、中核市じゃなかったっけ?」「いやいや中枢都市圏っていうのもあったような?」と思った人もいただろう。正確には中核市が正解だが、実は見方を変えれば正解でもある。似たような紛らわしい名称が並び、市民らの混乱を招いており、市も情報発信に苦慮している。

 ■三つ乱立

 一般的な言葉として、地方の拠点となっている都市を「中核都市」と呼ぶことがあるが、「中核市」とは別物。中核市は、れっきとした総務省の制度で、福井市は4月の移行が決定している。そんな中で政府は昨年12月、福井市など全国82市を「中枢中核都市」に選んだ。この時点で「中核」を含む名称が三つ乱立した。

 中核市は人口20万人以上の都市が移行できる制度。市議会、県議会の議決、県の同意を経て市が移行を申請する。保健所設置など県から多くの事務が移譲されて市の権限が大幅に拡大される。市単位で独自の条例を制定できる幅が広がり、これまで県民単位だった行政サービスを、福井市民目線の内容に改めることができるようになる。

 中枢中核都市は、人口の東京一極集中を是正するため、県庁所在地や政令指定都市、中核市などを選び、財政や人材を支援する制度。自治体が能動的に移行を目指す中核市と違い、政府が都市を選定する。

 ■三つとも該当

 県都である福井市は一般的に中核都市と呼ばれるべき都市で、昨年には中枢中核都市に選ばれ、4月には中核市に移行する。県議会議員の発言も意図はどうあれ、ある意味正解というわけだ。

 さらに中枢中核都市によく似た名称で、「連携中枢都市圏」という制度もある。中核市などが周辺自治体と連携し、自治体の境を越えた観光周遊ルートをつくるなど圏域内のサービス向上、経済発展を目指すもので、こちらも国から財政支援が受けられる。福井市は4月、中核市移行と同時に嶺北10市町と「ふくい嶺北連携中枢都市圏」を形成する。

 ■紛れないように

 内閣府地方創生推進事務局によると昨年6月ごろ、有識者会議などで中枢中核都市という言葉を積極的に使い始めた。担当者は「言葉としては一般的になってきたと思う。名称で混乱していることは初めて知った」。

 頭を抱えているのは福井市中核市準備課。「中核市を中核都市と呼び間違われることはこれまでもあった」という。それだけに制度としての中核市の役割のPRに取り組んできた。しかしここに来て「中枢中核都市」が登場し「なおさら分かりにくくなってしまった。市民には区別が付かないかも」と嘆く。「ほかの言葉に紛れてしまわないよう、とにかく『中核市』とは何ぞやというPRに努めたい」と話している。

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