【論説】トランプ米政権が任期4年の折り返し点を迎え3年目に入った。メキシコ国境への壁建設を巡って民主党と対立し、連邦政府機関の一部閉鎖が過去最長となる異常事態の中でのことだ。1、2年目は「米国第一主義」を掲げ世界を混乱に陥れたが、大型減税による世界的な好況や米朝首脳会談など功績ともいえる側面があったことは否めない。

 大統領の再選が視野に入る残り2年は、国境の壁問題が象徴するように昨秋の中間選挙で下院の主導権を民主党に握られ、内政面では決められない政治を余儀なくされる。その分、制約の少ない外交面で成果を焦る可能性がある。自国第一は無論、「自分第一」がより鮮明となり、暴走が加速する懸念は拭えない。

 政府機関の閉鎖は22日で1カ月に及び深刻な様相を呈している。予算失効で無給勤務や一時帰休する職員は約80万人。一部空港では職員の欠勤による検査業務の部分停止や、国立博物館などの休館による入場料の損失、商務省による経済指標の発表延期など、各方面に支障が出てきている。

 トランプ大統領は、否定し続けてきたオバマ前大統領が導入した不法移民救済策を容認するというディール(取引)を繰り出したが、民主党は即刻拒否し、先行きは見通せない。

 トランプ氏が「壁」にこだわるのは、2016年の大統領選で掲げた最大の公約であり、次期選挙で支持層をつなぎとめる試金石ともいえる政策だからだ。ただ「ツイッターの反響の大きさで公約に決めた」とされるだけに、専門家らも効果には懐疑的だという。

 このまま手詰まり状態が続けば影響はさらに広がる。3月初旬に政府の借金が限度額に達し、議会による債務上限の引き上げがなされない場合、資金が滞り、米国債の格下げ、金融市場の混乱も招きかねない。ロシア疑惑の追及なども相まって「ねじれ議会」は今後もトランプ氏の足かせになることは確実だ。

 そうした中、再度の米朝首脳会談を来月下旬に開くとの発表があった。これもトランプ氏の即断だとされる。今後、議題を含め実務レベルの協議で詳細を詰めるという。

 協議次第では先送りの可能性もあるが、成果を求めるトランプ氏が妥協に走る恐れも否定できない。日本にとっては、米国が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の廃棄といった案で手打ちし制裁を緩めるような展開は容認できない。

 マティス前国防長官ら「良識派」とされる閣僚が相次ぎ辞任し、閣僚級をイエスマンの「代行」でしのぐ政権運営では、大統領の独断を阻止できないのは明らかだ。米国の外交政策が予測不能の展開に陥ることも想定すべきだろう。

 米政府の元高官からは、トランプ氏との蜜月関係を築いてきた安倍晋三首相が歯止め役となるよう期待する声が上がる。貿易赤字や防衛負担などで取引を迫られる場面もありうるが、首相にはそれに屈しない覚悟が問われる。

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