規制線が張られた広瀬嘉一容疑者と殺害された広瀬一さんの自宅=1月20日、福井県福井市

 福井県福井市の広瀬一さん(84)が自宅で長男嘉一容疑者(57)に殺害された事件で1月21日、一さんをよく知る人から「朗らかな性格だった」「かわいそうやなと思う」と悼む声が聞かれた。

 一さんは囲碁好きで、公民館で活動する囲碁同好会に2017年末まで所属。週1回の活動にほとんど参加し、自宅横の駐車場で知人と楽しむ姿も見られたという。70年以上の知り合いという男性は「勝ち負けにこだわらない、好きでやっているような感じだった」と人柄を振り返った。

 別の囲碁仲間によると、冗談を言う陽気な性格だったが、近年は耳が遠いそぶりを見せることがあり、「息子(嘉一容疑者)が言うことを聞いてくれない」などと家族に対する小言をこぼすこともあったという。

 近隣住民らによると、嘉一容疑者は妻と一さんとの3人暮らしだったが、妻が他の親族の世話で家を離れることも度々あったらしい。嘉一容疑者が1人で一さんを介護することが多かったとみられ、「介護がつらかったんではないかなと思う」との声もあった。

 一方、嘉一容疑者の勤務先の県信用漁業協同組合連合会(福井市)には21日、職員が沈痛な面持ちで出勤、フロアは重苦しい空気に包まれた。30年前から付き合いのある同僚は「自分から仕事を引き受けるタイプ。いつも周囲に気を配っていて、若い職員にも『何かあったのか』と声を掛けていた」と話した。

 数年前から職場で一さんの介護のことを口にするようになり、「(親が)そそうをした」「大変なんや」とこぼすこともあったという。手早く仕事を済ませ、いつも午後7時ごろまでには退社していたらしく、この同僚は「介護があるから、日中頑張って仕事をしていたのかもしれない」と語った。

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 同居する実父の首にロープのようなものを巻き付けて殺したとして、福井県警福井南署と県警捜査1課は1月19日深夜、殺人の疑いで広瀬嘉一容疑者を逮捕した。同課によると「(父親の)介護がうまくいかずカッとなった」と供述し、ロープのようなものを巻き付けたことを認める一方、「殺すつもりはなかった」と殺意は否認している。県警は詳しい動機や経緯などを調べている。

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