元薬剤科長による医薬品の着服が明らかになった福井勝山総合病院=1月21日、福井県勝山市長山町2丁目

 福井勝山総合病院(福井県勝山市長山町2丁目)の男性元薬剤科長(55)が抗がん剤など約2700万円相当の医薬品を着服し、違法に売却していた疑いがあることが1月21日分かった。病院側は業務上横領と医薬品医療機器法違反(無許可販売)の疑いで刑事告訴状を提出しており、福井県警が捜査している。

 運営母体の独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)が21日、元薬剤科長を昨年7月18日付で懲戒解雇処分にしたことを発表した。元薬剤科長は着服を認め、同日までに被害額を全額弁済している。管理監督責任を問い、男性院長も戒告の懲戒処分とした。

 機構によると懲戒解雇処分とした事案は、元薬剤科長が2014年5月から昨年3月まで、抗がん剤など2品目約600万円相当の医薬品を着服し、第三者に売却したとしている。その後の調査で着服は10品目約2700万円相当に上ることが判明。7品目が高額な抗がん剤で、あとは白血病などの治療薬だった。このうちの一部を昨年9月に刑事告訴した。

 機構によると、昨年6月の内部監査で医薬品の在庫に異常な点が発覚、監査終了日の翌日に元薬剤科長が申し出たという。医薬品の管理責任者の立場を利用し、院内の医薬品情報管理システムに入力する医薬品の使用量を実際より多く改ざんすることで余剰分を着服していた。元薬剤科長は機構に対して「家族の将来に不安を感じていた」と金銭的な理由があったと述べたという。15年10月に実施した監査では発見できなかった。

 発覚から半年以上公表していなかったことについて機構は「警察の捜査に支障が出るため」と弁明。第三者には手渡しで販売していたとみられるという。その上で第三者は「同じ病院内や患者ではない」とした。院長は「当院の職員が法律に反する行為を行ったことは、誠に遺憾であり、管理者として地域住民の皆さまや関係各位に心から深くおわびを申し上げます」とのコメントを出した。

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