奥野宏さんの写真に、手記の完成を報告する紀久子さん=福井県南越前町

 福井県南越前町の夜叉ケ池にのみ生息する絶滅危惧種ヤシャゲンゴロウの生態研究に貢献し、昨年亡くなった同町の奥野宏さん=享年(82)=の手記を妻紀久子さん(76)が自費出版した。研究成果とともに自然保護に対する強い思いが記されている。

 奥野さんは福井大学卒業後、中学教諭として勤務。新採用で赴任した学校の同窓会で2018年4月に倒れて亡くなり、完成間近の手記が遺された。

 生前交流のあった町関係者や虫好きの仲間らに、紀久子さんが追悼文を依頼。自然再生活動を支援する同県敦賀市の企業「BO―GA(ボーガ)」が編集・監修し、18年末に完成した。主に夜叉ケ池の説明やヤシャゲンゴロウの研究記録を3章でまとめている。

 30年余りの研究成果を記した第2章では、ヤシャゲンゴロウとの“初対面”が書かれている。中学時代、初めて訪れた夜叉ケ池。遊泳中に見つけた小さな生き物をエビと思ったが、後に「ヤシャゲンゴロウの終齢幼虫であったと考えられる。夢のような一日であった」と振り返っている。

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