昨年2月の豪雪時、除雪中に転んで左肩を傷めました。整形外科でレントゲンとMRIを撮った結果、骨の異常はないと言われましたが、鈍い痛みとだるさが続き、着替えや洗髪時に左腕を上げたり、後ろに回したりするたびにピリピリとした痛みが出るので再度診察を受けました。「五十肩」とのことで、半年ほど注射やリハビリを行っていますが、あまり効き目はありません。回復までの期間や改善方法について教えてください。(福井県福井市、59歳女性)

 【お答えします】大橋義徳・福井県立病院整形外科医長

 ■半年~1年で回復期、「体操」も有効

 「五十肩」は、50代を中心とする40~60代に多くみられるためこのように呼ばれていますが、正式には「肩関節周囲炎」といいます。

 肩関節にある腱板(けんばん)は肩甲骨と上腕骨をつなぐ四つの大きな腱で構成されており、腕の運動に重要な役割を果たしています。肩関節周囲炎ではこの腱板やその周囲の組織に炎症が起きて痛みが出たり、炎症で肩関節が癒着して固まる「拘縮」といわれる状態になります。

 肩関節周囲炎の治療の目的は、痛みを和らげることと拘縮を改善することです。その方法は薬物療法とリハビリが主となります。

 肩関節周囲炎では動かしたときや、安静時、特に夜間に強い痛みがでて発症することが多く、この急性期には安静や消炎鎮痛剤(経口薬、外用剤)で治療します。2週間程度で急性期を過ぎて痛みは和らぎますが、拘縮を起こす慢性期へ移行します。慢性期では痛みのために動かさないでいると拘縮が進行するので、消炎鎮痛剤で鎮痛しながらリハビリを行い、拘縮の改善を目指します。また、痛みが強い時には注射をすることもあります。肩を温めたり、寝るときに肘下にタオルを入れるなど痛くない姿勢の保持も有効です。

 慢性期を過ぎると半年から1年程度で回復期へと入り、痛みが軽減して動かせる範囲が回復していきます。この時期は先に述べた治療に加えて、関節の動きをよくするためにさらに積極的に動かすことが必要です。リハビリで理学療法を行うだけでなく、いわゆる「五十肩体操」といわれている、痛みのある腕をたらし前後左右に振る運動やゴムを両手で持って肘を支点として左右に広げる運動などを自宅ですることも効果があります。

 ■痛み続くなら他疾患との鑑別も必要

 ほとんどの肩関節周囲炎は保存療法で改善しますが、痛みが続く場合は他の疾患との鑑別が必要なことがあります。

 例えば、腱板に石灰が沈着する石灰沈着性腱炎、肘を曲げる腱が肩関節の前方で炎症を起こす上腕二頭筋腱炎、腱板自体が切れる腱板損傷などがあります。これらはレントゲン検査や超音波、MRIで診断ができ、それぞれに応じた治療法がありますので、主治医とよく相談しながら治療することをお勧めします。

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