【越山若水】「本当のような作り話」をニュース仕立てで載せているのが「虚構新聞」というウェブサイトだ。例えば〈シャープ、゜の売却を検討〉なんて“報道”したりする▼社名のシャープのうち「プ」の半濁点「゜」を売ることはあり得ない。ウソに決まっているのだが、そのウソがときどきホントになるからこの世は分からない▼書かれたシャープの公式ツイッターが、あるとき半濁点を取って「シャーフ」と名乗ったのだった。虚構新聞が事実を書けば誤報になる。そんな指摘も実際あった▼ウソつきがウソをつくのは当たり前で、ウソつきが本当のことを言ったら非難される。虚構新聞の一件は、突き詰めて考えだすと頭が変になる。ウソをつくのもなかなか難しい▼米ワシントンでトランプ大統領の辞任を伝える偽新聞が出回った、ときょうの本紙にある。「偽ニュースが悪い」などと書き殴ったナプキンを残し…と偽記事はもっともらしい▼しょせんは怪文書のようなものかと思ったら、名門紙のワシントンポストに似せてある。トランプ氏が敵視する新聞なので、名前をかたられた会社としては具合が悪い▼先の虚構新聞に戻ろう。「誤報」の後始末におわび記事を載せた。「部分的ながら記事が現実化してしまった」などと書いたが、最後まで読むとペロリと舌を出している。米の偽新聞はそんなユーモアに欠ける。

関連記事