肝内胆管がんの保険適用は厳しくなったが、陽子線治療は引き続き行われる=福井県立病院陽子線がん治療センターの治療室

 福井県立病院など全国の医療機関が連携して先進医療として実施している陽子線がん治療のうち、肝内胆管がんの治療が公的保険適用に向けた重点的な評価の対象からこのほど外れた。症例を収集し始めて以降、評価の対象となる例が集まらなかったため。同がんの陽子線治療は今後も受けられるものの、単独での保険適用は厳しくなった。

 肝内胆管がんは、肝臓と十二指腸を結ぶ胆管のうち、肝臓内にある部分に発生したがんを指し、女優の川島なお美さんがこの病気で2015年に亡くなったことでも知られる。このがんに対する陽子線治療は、前立腺がんなどとともに保険適用に向け重点的な評価が必要として、筑波大附属病院(茨城県)が中心となり2016年11月から症例の登録を進めていた。

 評価対象とするためには、手術での切除ができず、化学療法による治療も未実施であることなどが条件だった。全国11医療機関が計58例の治療を実施したが、条件に当てはまるものはなかった。医療機関側は今後も症例を集めることは困難と判断し、厚生労働省の先進医療会議に重点的な評価対象の取り下げを申請した。重点評価の対象からは外れたが、陽子線がん治療は引き続き行われる。

 県立病院陽子線がん治療センターでは、2011年の開設から18年11月までに13人の肝内胆管がん患者を治療。重点評価開始からは3例あったが、化学療法による治療が未実施などの条件を満たさなかった。症例数が少ない上に多くの場合は進行した状態で発見され、何らかのがん治療が行われた後に紹介を受ける場合が多いためという。

 玉村裕保センター長は「手術後に放射線治療を行うと予後の平均が伸び、放射線の術後照射の有用性は証明されている」と主張。一方、個人的な見解とした上で「エックス線治療ではがん周囲に消化管や脊髄などがあり、十分な線量が照射できない弱点もある。がんにピンポイントで照射できる陽子線の特性を生かせば、手術との組み合わせが最も推奨される治療法の一つになるのではないか」と語った。

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