初場所3日目、寄り切りで栃煌山に敗れた横綱稀勢の里=2019年1月15日、両国国技館

 絶大な人気の日本出身横綱が土俵を去る。相撲の第72代横綱稀勢の里(32)=本名萩原寛、茨城県出身、田子ノ浦部屋=が大相撲初場所4日目の1月16日、現役を引退することが決まった。「自分は力士だから、土俵の上でしか表現できない。辛抱して、我慢して進んでいくことが一番」。愚直な稀勢の里は多くの人々を魅了した。

 中卒たたき上げで10代の頃から将来を嘱望された。馬力あふれる真っ向勝負で番付を駆け上がる。モンゴル出身の朝青龍、白鵬の両横綱ら外国勢が隆盛を誇る中で奮闘。2011年九州場所では、直前に先代師匠の鳴戸親方(元横綱隆の里)が急死する悲劇を乗り越えて大関に昇進した。

 優勝にあと一歩届かない時を経て、30歳の17年初場所でついに賜杯を抱き、最高位へ上り詰めた。世間は“稀勢の里フィーバー”に沸いた。翌春場所で左上腕などのけがを押して奇跡の逆転優勝。表彰式の君が代斉唱での涙は感動を呼んだ。

 ただ代償は大きく、翌場所から8場所連続休場。昨年秋場所の引退危機はひとまず乗り切ったが、先場所は初日から4連敗(不戦敗を除く)の不名誉で、今場所も本来の姿を取り戻せなかった。15歳から汗と砂にまみれてきたが、鍛錬を支えた気力も限界に達した。

 【略歴】

 稀勢の里寛(きせのさと・ゆたか=本名萩原寛)茨城県牛久市出身、田子ノ浦部屋。02年春場所に鳴戸部屋から初土俵。17歳9カ月の新十両、18歳3カ月の新入幕はともに貴乃花に次ぐ史上2位の若さ。10年九州場所で白鵬の連勝を63で止めた。11年九州場所後に大関昇進。13年12月に部屋の名称変更。17年初場所後に第72代横綱に昇進。同年春場所で22年ぶりの新横綱優勝。優勝2回。殊勲賞5回、敢闘賞3回、技能賞1回。得意は左四つ、寄り、突き、押し。188センチ、177キロ。32歳。
 

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