ニホンカモシカに食べられ、葉がほとんどなくなった「河内赤かぶら」=2018年12月22日、福井県福井市味見河内町

 福井県福井市美山地区の伝統野菜「河内赤かぶら」を巡り、山奥の急斜面で作業する農家の減少や高齢化に加え、近年はニホンカモシカによる食害が目立ち、特徴である焼き畑栽培の継続が危ぶまれている。残る農家は「山で採れる赤カブは味も見た目も違う」と、平家の落人が伝え800年以上続くとされる農法を守る思いを強くしている。

 生産組合組合長を長年務めた西川誠一さん(77)は2017年、腰を痛めて焼き畑栽培をやめた。腰の手術を受けた18年も断念した。昭和初期に30軒あった焼き畑栽培農家は、5年前にはわずか6軒に。現在は2軒で、市内外の会社員らでつくる「福井焼き畑の会」を含めてもこの5年でさらに半減した形になる。

 同会の畑は昨年、ニホンカモシカの大規模な食害に見舞われた。過去に若い芽を食べられたことはあっても、茎だけになるまで葉を食べられたり、大きな実が半分もかじられたりしたのは「1991年の会の発足以来初めて」と事務局長の北倉武徳さん(59)。「葉をかじられては栄養がいかず(実が)大きくならない」と肩を落とす。栽培農家の川北強さん(69)、庸子さん(68)夫妻も2017年に同様の食害に遭い、18年は畑の周囲に高さ約1・8メートルのネットを張り巡らして難を逃れた。

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