【越山若水】年明け早々、福井県庁の画像がツイッターで話題を呼んだ。上空ほぼ真上から撮られ、お堀で囲まれた様子が鮮明な一枚。「これは強そうな県庁」というのである▼添えられた「防御力では間違いなく日本一」のコメントや、「何と戦うんだ」などの反応につい笑ってしまった。「いいね」は1万以上付く▼もう28年前になるが、本紙が県庁を福井城址(し)から“消した”ことがある。権威の象徴ともいえる建物群を写真からCGで削除し樹木に変え、1面に載せた。連載企画での試みである▼その写真の福井城址はあくまで静かで、癒やしをもらえそうな水と緑の空間に生まれ変わった。単なるイタズラではない。効率性、利便性より生活者の目線を大事にした地域をつくろうとするなら、何を考えたらよいだろう―そんな問いかけを視覚化する工夫だった▼県庁移転を新年度から検討したいと、知事が表明した。耐用年数が迫っているから、もともとこれ以上は延ばせなかったのだが、これでようやく具体的な政治日程に上がりそう▼ただ、移転は約10年もかかるという。これだけの時間は本当に必要なのか。既に経済界が複数のアイデアを提示しているから、議論の材料はある▼知事の表明は選挙への思惑もあったろうが、それはともかく、これからの議論は福井にとって大切なものになる。もちろんスピード感も含めて。

関連記事