映画「カメラを止めるな!」のプロデューサー、市橋浩治さん(福井県越前市出身)

 市橋さんは大学卒業後、リクルートに入社し長らく広告営業を担当しました。縁あって監督・俳優の養成学校「ENBUゼミナール」(東京)の運営に携わるようになり、2009年に社長に就任しました。「実はエンタメ業界についてそれほど詳しくなく、すごい情熱があった訳でもない。だけどずっと教育分野の広告を担当していたこともあり、人を育てることに興味があったんです」

 「カメラを止めるな!」は、新人監督や無名俳優たちに映画制作に挑戦する場を与えるため同校が主催するワークショップから生まれた作品でした。内容を含め基本的に監督の好きにやってもらい、当初から興行収益は二の次だったといいます。

 同作品では、映画制作の現場そのものの姿が描かれており、特にさまざまなモノづくりに携わる多くのクリエイターから共感の声が寄せられました。さらに市橋さんは「低予算でも良いものを作ればちゃんと世の中が認めてくれるという〝ジャパニーズドリーム〟に観客が一緒に参加し、楽しんでくれている側面があると思う」と分析します。 

 映画の人気拡大の陰では、監督や俳優たちが自ら路上でビラを配ったり、SNSでこまめに情報発信したりといった地道な努力を続けました。現在、彼らに対しては次回作などのオファーが殺到しているそうです。「興行的に大ヒットしたことはもちろんうれしいけれど、僕自身は、今まで埋もれていた才能が開花するのを手助けできて、それを世の中に送り出せたという点で、最高の結果になったと思っているんです」

 全国に上映館が広がる中、福井県内でも封切り以来、連日大入りの人気が続きました。「福井での公開がなかなか決まらず、やきもきしました(笑)。だけど、自分が送り出した作品を故郷で見てもらえるのは本当にうれしいです。この勢いで、福井のご当地映画を作ってみたいという気持ちも出てきました」と、市橋さんは力強く語ってくれました。

 ×  ×  ×

市橋浩治(いちはし・こうじ)

1964年、福井県越前市今立地区生まれ。武生高校、神戸大学を卒業後、リクルートに入社し広告営業マンとして15年勤務。

2002年から監督・俳優養成専門学校「ENBUゼミナール」の運営に携わり、2009年に代表取締役に就任。

2011年にシネマプロジェクトを立ち上げ、「カメラを止めるな!」はその第7弾のプロデュース作品。

【この記事はふくいの旬な街ネタやおでかけ情報を毎日発信するサイト「ふーぽ」からの寄稿記事です。】
関連記事