国内で初めて3次元解析法を基に設計、施工された笹生川ダム(笹生川・浄土寺川ダム統合管理事務所提供)=福井県大野市

 福井県大野市本戸にある笹生(さそう)川ダムは、日本で初めて3次元解析法を用いて設計、施工されたダムだ。ダムを管理する笹生川・浄土寺川ダム統合管理事務所(中野)で1958年ごろの文献が見つかった。関係者は「少なくとも約40年前までは認知されていたようだが、現職員で知る人はいなかった。大野の一つの観光資源としてPRしていきたい」と話している。

【D刊に詳しく】笹生川ダムの研究報告

 文献は整備事業に関わった2人が執筆した研究報告で、発電水力協会誌に掲載されている。昨年、書庫で作業をしていた職員が資料を発見した。「笹生川直線式重力ダムの三次元的応力解析について」と題し、3次元解析法を採用した経緯や解析結果、従来の2次元計算法の結果との比較が示されている。

 ダムの堤防はブロックを継ぎ足すように造られ、設計の際には各ブロックごとに力のかかり具合などを調べる「2次元計算法」を用いるのが一般的とされている。一方で、全ブロックを一つの構造物として捉えるのが3次元解析法。当時は材料費が高騰していたとみられ、文献では「『最小の投資で最大の効果を上げる』という経済上の要請を満足させるためにはいかなる解析法によるのが最も妥当であるか」と検討に至った経緯を説明している。

 3種類の解析法を試した上で「3次元解析法がダムの真の状態に近いものを与えられる」として採用。2次元―の結果と比べ、堤防のコンクリート容積を1割強減らして工費を節減した。同事務所によると削減容積は約2万5千立方メートルに上るとみられ、比較的スマートな姿が関係者の努力を物語る。

 建設省(現国土交通省)が昭和50年代に作成したパンフレットには「本体設計に3次元解析法を使用し、実施に移した我国最初のダム」と紹介された。

 同事務所の久保光主任は「日本初とは、びっくり」と驚きを隠さない。現在のように専用ソフトがない時代に、手計算で複雑な計算を重ねているといい「すごく考えられて造られている。ダムに沈んだ4集落の暮らしも含めて掘り下げて調べ、ダムの歴史と魅力を発信していきたい」と話している。

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