【越山若水】競技かるたが海外に広まっている。全日本協会の機関誌によるとパリで非公式ながら大会が開かれ、一昨年からは「ミュンヘンかるた会」主催のイベント「ヨーロッパ合宿」も行われる▼2日で10試合をこなすなかなかハードな合宿らしい。昨年は独伊仏英から34人が参加した。名人位・クイーン位戦がいつか、世界王者の決定戦となる日が来るかもしれない▼百人一首という文学と、競技との組み合わせは珍しい形態だ。藤原定家が100首をどう選んだかには謎もあって、秀歌集だとの定説に対し異論が消えない。海外選手の興味を引くところだろう▼ただ、定家の選択は理由が何であれ、競技かるたを面白くした。例えば始まりの2文字以上が同じ札は24組51枚もある。これらは3文字から最大6文字聞かないと特定できない▼中でも「なげきつつ」「なげけとて」で始まる2枚は、読むだけで噛みそうになる上に、「ながからん」「ながらえば」まである。選手泣かせで知られる札である▼名人位戦で川崎文義さんが激闘の末に敗れた。しかし、かるた人口が増え、強豪が続々と生まれている中でトップ選手であり続けているのは並の努力ではない▼かるたは教わるのでなく、見て盗むものという。とすれば川崎さんたち一流選手が身近に存在する福井の若手は幸運だ。後に続く高校・大学生らの台頭を期待しよう。

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