【論説】新聞を読んで記事の内容をまとめたり、他人の意見を聞いたりする活動が学校や職場などで活発化している。教育現場では新学習指導要領が求める「主体的・対話的で深い学び」につながる取り組みとして期待されている。また、職場や地域ではコミュニケーションのツールとして注目されるようだ。

 学校での取り組みでは、児童、生徒らがグループごとに記事について話し合い、意見をまとめて発表する形式をよく目にする。そのコンテスト版といえるのが毎年、日本新聞協会が行う「いっしょに読もう! 新聞コンクール」だ。全国の小中高生が興味ある記事を選び、友人や家族らの話を聞いた上で自分の意見を記述する。

 9回目を迎えた本年度は、県内で初めて福井市宝永小の5年生が最高の最優秀賞に輝いた。今回、県内からは24校1337点と応募数こそ減少したが、初めて高校生の参加があった。最高賞が県内から出たことは、教育現場で新聞を活用した取り組みが浸透している表れだろう。

 最優秀賞の作品は、ペットショップ向けに劣悪な環境で飼育されている「子犬工場」に関する本紙記事をテーマに取り上げていた。子犬を買いたいと両親にねだっていた児童は、家族らと話し合う中で視野が広がり、「ペットはプレゼントに買ってもらう『もの』じゃなく、大切な命である」ことを理解していった。

 他人の考えを聞いたり、本や新聞を読んだりすることは、子どもが自らの考えをかたちづくる出発点となるだろう。幅広い視点を持つには、できる限り多様な考えに触れることが欠かせないといえる。

 一方、職場などで近年注目を集めているワークショップに「まわし読み新聞」がある。4、5人ほどの社員らがグループになって、関心のある記事を切り抜き、要点をまとめて感想や意見を披露し合うものだ。興味を持っていなかったニュースを同僚が取り上げれば、新たな気付きがあるだろう。教育や防犯、料理など多様な記事が話題となることで、新聞は職場の潤滑油にもなるに違いない。

 さらに、地域での実践にも注目したい。勝山市荒土小は地元の社協と連携し、新聞を児童と地域のお年寄りとの触れ合いに役立てている。「高齢者から現金詐取」といった記事を選んで注意を促す児童もいて、高齢者の問題を一緒に考えることにつながっている。

 過疎化や担い手不足などで、祭りや運動会などの住民の絆を強めるイベントが減っている地域は少なくない。そうした中で、大がかりな催しを開くことなく、手軽に活用できる新聞の利点にも目を向けたい。

関連記事