自分が生まれた病院を訪問するきっかけとなった作品を手にする久保田琉仁さん。命の尊さをつづった読書体験記が全国高校生コンクールで最高賞に選ばれた=福井県福井市の藤島高校

 第38回全国高校生読書体験記コンクール(公益財団法人・一ツ橋文芸教育振興会主催、福井新聞社など後援)で、福井県立藤島高校2年の久保田琉仁さん(16)=鯖江市=の作品「903グラムの命をみつめる旅」が最高賞の文部科学大臣賞(1編)に輝いた。一冊の本との出合いをきっかけに、16年前、超低出生体重児として生まれた自分の命を救ってくれた病院を訪問。生きることのかけがえのなさや、命の尊さを再確認したことをつづった。県内から最高賞に選ばれたのは2人目。

 読書体験記は、本を通して影響を受けたことや、考えを深めたことなどを書く。今回は全国438校から9万6805編の応募があり、各都道府県から1編ずつ選ばれた優良賞47編を12月5日の中央選考で最終審査した。

 久保田さんはわずか903グラムの超低出生体重児として、沖縄県石垣島の総合病院で生まれた。同じ超低出生体重児に生まれ、生後2カ月でこの世を去った男の子について書いたノンフィクション「いつか貴い陽のしたで」(辻聖郎著)を読み、「自分の命を救ってくれた病院に行ってみたい」と13年ぶりに石垣島の総合病院を訪れた。

 当時の先生と再会したり、生後間もない久保田さんがいた新生児集中治療室(NICU)を特別に見せてもらったりする中で、死と隣り合わせの新生児たちを24時間態勢で診る医師や看護師のたくましさ、見守る家族の愛を感じたと記した。

 NICUのそばで涙を流す初老の女性を目の当たりにした時は「16年前の私の祖母だと思った」と思わず声を掛けた。自分もこのNICUに3カ月いたが、今は元気に暮らしてることを話すと、女性は安心した表情になったという。病院を出た時に「私は今生きている」と実感し「普通の生活が、かけがえのない尊いものだと気づいた」と思いをつづった。

 読書をきっかけにした今回の体験について、久保田さんは「胃まで管が入りおなかが減っても苦しくても意思を伝えられない小さな赤ちゃんの姿が残酷で辛かった」と振り返りつつ、「こういう過程を超えて生きている今の自分を見つめ直すことができた」とした。

 表彰式は28日、東京都内のホテルで開かれる。

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