【越山若水】「平成」最後となる年明けである。5月には皇太子さまが新天皇に即位され、新元号へと変わる。文字通り清新な1年であってほしいと願う▼平成はどんな時代だったか。社会学者の大澤真幸さんは「デジタル化」「グローバル化」がキーワードという。確かにインターネットとソーシャルメディアは世界の距離を短くした▼その延長線上にあるのが人間並みの頭脳を持つ人工知能(AI)だろう。ただ現代人はやがて到来する「AI社会」に、期待と同時に漠然とした恐れを抱いている▼その理由をAI研究者の松原仁さんはこう解説する。かつて人類は多数の「肉体の敗北」を喫してきた。だから自動車に速度で負けても悔しくはない。しかし知性となると歴史上、負けた経験がない▼ところが囲碁や将棋のAI棋士はデータを駆使するディープラーニング(深層学習)で人間棋士を難なく撃破。「知性の敗北」が恐怖感の原因という(「AIに心は宿るのか」集英社新書)▼それでも本紙特集によれば、AI社会への挑戦は県内でも着々と進行。車の自動運転や家事省力化、農作物の栽培管理、介護ロボットなどの期待は大きい▼来るべき時代のAI社会とどう共存するか。少なくとも「AI対人間」の構図では解決が難しい。テクノロジーを生かすも殺すも人間次第。要するに私たちの人間性や知性が問われている。

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