1月5日の名人位決定戦を前に、平常心で練習に取り組む川崎文義名人=12月31日、福井県福井市高木1丁目の県かるた協会

 競技かるたの実力日本一を競う第65期名人位決定戦は1月5日、滋賀県大津市の近江神宮勧学館で開かれ、福井渚会の川崎文義名人(30)=福井県越前市=が4連覇を懸け、2年連続で粂原圭太郎(くめはら・けいたろう)八段(京大かるた会)の挑戦を受ける。前回は粂原八段の独特の戦術に苦しめられたが、川崎名人は「特に意識も対策もしない。かるたはシンプル。相手より速く取ればいい」ときっぱり。持ち前の「攻めがるた」を貫きたいとし「前回以上に強い気持ちで臨むだけ」と静かに闘志を燃やしている。

 川崎名人を除く歴代11人の名人のうち、4連覇を達成しているのは4人のみ。名人が2年続けて同じ相手の挑戦を受けたケースは過去に5回あり、いずれも名人が勝利を収めている。

 名人位決定戦は3戦先勝の5番勝負。前回対戦で粂原八段は、敵陣の札を取って自陣の札を相手に渡す際にセオリーとは異なる送り方にするなど、心理的な揺さぶりを仕掛けてきた。さらに、川崎名人を十分に研究し臨んできたこともうかがわせた。最終的には3―2の逆転勝ちで川崎名人は名人位を守ったが、苦戦を振り返り「前回の5試合分のデータも加わり、さらに対策してきているかも。何倍も強くなっているはず」と気を引き締める。

 川崎名人は毎年、挑戦者が決まっても具体的な対策は考えないという。相手に対応することよりも、自分のかるたをやり切ることを第一とする。生活リズムの乱れは心の乱れにつながり、かるたに影響するとして、常に規則正しい生活を課し週2回の練習を欠かさない。「前回は揺さぶられてしまった自分が弱かった。簡単な話、気にしなければいい。心を一定に保ち、積み上げてきた練習の成果を出すだけ」と最大の武器である精神面を淡々と鍛え続ける。

 名人位を防衛するたびに、応援してくれる人たちへの感謝の気持ちが強まっているという。「感謝を忘れず、そして再挑戦してきた相手よりも強い気持ちを持って臨む。4連覇はその結果としてついてくればいい」。泰然自若の構えで、決戦の時を待つ。

関連記事