警察犬の育成を目指す中村美穂さん(左)、裕香さん姉妹。手前左はコスケ、右はアラタ=福井県福井市

 2頭の愛犬ラブラドールレトリバーを警察犬にしようと、福井県福井市の姉妹が訓練に励んでいる。特別支援学校や老人福祉施設などに出向き、心を和ませ、やる気を引き出すドッグセラピー活動に取り組む中で、行方不明者を捜索する警察犬が県内で足りないのを知ったことがきっかけ。2頭は広報活動を行う警察協力犬、事件性の低い行方不明者の捜索に出動する準警察犬としてそれぞれ福井県警福井南署から認定書を交付されており、目標の実現に一歩ずつ近づいている。

 姉妹は中村美穂さんと裕香さん。美穂さんが9歳コスケを、裕香さんが3歳アラタを指導しており、犯罪捜査にも活躍する警察犬にまで育て上げたいと奮闘中だ。姉妹で育成に取り組むケースは県内ではないという。

 2017年10月に同県勝山市で開かれた「犬のしつけ教室」に参加した際、行方不明者を捜索する警察犬が県内で不足していることを知り、「人の役に立ちたい。それが一番の幸せ」(美穂さん)とドッグセラピーと警察犬育成の両立を目指した。

 同県小浜市の指導手大森和代さん(61)のもとに月2回通って訓練している。自宅の庭なども訓練の場として活用し、行方不明者の捜索に必要なにおいをたどる訓練「足跡追及」、従順さの精度を高める「服従訓練」を反復する日々という。セラピー用の訓練に慣れている2頭は、めきめきと実力を付けている。

 周囲の支えも大きいようだ。セラピーで足を運んだ特別支援学校の児童らから「早く警察犬になってね」といった手紙が届いたり、近所の人が訓練用のハードルを作ってくれたりした。福井南署からも2頭の名が記された犬用の服が贈られたという。

 美穂さんは「皆さんに支えてもらっているからこそ訓練できる。恩返ししていきたい」。裕香さんは「行方不明者の捜索は人命に関わること。いつでも要請に応えられるよう準備と訓練を継続していきたい」と力を込めた。

 県警鑑識課によると、福井南署管内には、2013年から5年間、警察犬などが不在だった。同課の三好孝幸次席は「行方不明者の捜索件数は毎年増えている。鼻の捜査官と呼ばれる警察犬に頼らざるを得ないこともある」と姉妹への期待を込めて語った。

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