地方の長男、託された“十字架”

 福井県を含む「地方の長男」をテーマにおしゃべりを楽しむ「第2回福井新聞オンライン×ゆるパブコラム・オフ会」が9月、福井県鯖江市の市環境教育支援センター(エコネットさばえ)で開かれた。ネット公募で集まった約20人が参加。「当事者」である長男、長男の妻、弟・姉妹もおり、さまざまな立場から「長男」を考察。話し合いから、生まれながらにして先祖代々の家や土地、墓を継ぐという“十字架”を背負わされながらも、その分、他の子より親に優遇されるという長短ない交ぜの境遇が浮き彫りになった。オフ会で語られた内容を3回にわたって紹介する。

 地方生まれの長男とは―。記者も福井市生まれの長男で、期待される役割は身をもって分かる。家を継ぐこと、両親の介護、代々伝わる土地や財産の管理などなど。同じ長男なら相通ずるだろうと思う“責務”は意外と多い。オフ会ではまず、家や土地を継ぐことの役割から話が始まった。

 コーディネーターを務めた若新雄純さん(長男)は実家が田や山を所有しており、「嶺南の山奥で生まれ育ったが、幼少期から祖母に『田んぼを売るな』と強く言われていて、祖母にお年玉の額を上げないと田んぼを売るぞと迫ったことがある」とのエピソードを披露。勝山市に住む農家の20代男性(長男)は「田んぼを続けないと雑草や病害虫など隣の土地に迷惑が掛かるので、なかなかやめづらい。土地を売ったら、両親から反発があると思うし」と胸の内を明かした。福井市の高校生も「親に土地は手放してもいいけど、墓は大事にしてと言われている」と話した。

 また将来、家を継いだり両親の面倒を見たりすることも長男の役割として目される。大野市の30代男性は「子どもの頃、家業の田んぼの手伝いをしていたのは長男の自分だけだったから、大学進学で県外に出たものの、『やっぱり自分が家を継がなきゃいけないんだろうな』と漠然と思っていた」とUターン就職した理由を説明。神奈川県から福井県の長男に嫁いだ30代主婦は「結婚する前に『夫の両親と同居するんでしょ』という親戚からの重圧があったので、別居じゃないと結婚しないと夫に言った。私は姉妹だけなので、自分の両親もうちらで見なければいけない。夫の両親の面倒を見ると言っているが、実際は夫の姉に頼ることになると思う」と打ち明けた。

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