完成した写真集を手に笑顔の西川惣平さん(右)と平野佳宥さん=福井県鯖江市三尾野出作町

 河川改修事業に伴い集落が消滅した福井県鯖江市三尾野出作町の元住民らが、「解町30年」を記念した写真集を制作した。移転前の住居や神社の写真のほか、全戸移転となった経緯、まちの歴史を刻む年表などが記され、思い出を語り継いでいく。

 三尾野出作町は鯖江市の最北部に位置し、人は住んでいないが住所表示としては残されている。元住民らによると、検地帳の記録などから約300年の歴史があるという。

 集落内には1級河川の浅水川が流れ、昔から水害に悩まされることが多かった。県は河川の拡幅工事のため、1981年ごろから用地買収を開始。同区ではその約20年前にも市の公共施設建設で一部の住民が左岸から右岸へ移転した経緯もあって交渉は難航。住民の意見は賛否二分するも転居やむなしと合意に至り、全8戸が89年から2年間かけて同市吉江町などに移った。

 写真集は集落消滅から30年の節目にあたり、祖先への感謝とまちの歴史を次の世代に伝承しようと、元住民の西川惣平さん(89)や、当時市議会議員として住民の説得に奔走した平野佳宥さん(73)らが企画。今年5月から、元住民に写真提供を依頼するなど準備を進めてきた。

 A4判で30ページ。昭和の家族写真などモノクロやカラー約100枚が掲載されている。移転前後の稲荷神社や1990年に住民総出で開かれた「解町式」の写真などもある。

 10月に完成し、元住民に配布したほか、市文化の館や立待公民館にも置いた。西川さんは「三尾野出作の名を忘れないでほしい」と話している。

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