【越山若水】年末恒例、この1年で話題になった言葉を選ぶ「新語・流行語大賞」。年間大賞は平昌(ピョンチャン)冬季五輪銅メダルのカーリング女子選手が交わした「そだねー」に決まった▼いまさら説明するまでもなく、相づちを打つ時の北海道弁である。試合中に戦術を確かめる場面で発せられ、独特のイントネーションとほのぼの感が耳に残る▼ところで相づちは漢字で「相槌」と書くように、本来は「鍛冶で弟子が師匠と向かい合って互いに槌を打つこと」(広辞苑)。そこから相手に同意する意味になる▼日本人ならトンカントンカンと心地よい響きを想起し、さらに共同作業というプラスのイメージが膨らむ。だから相づちを打つのは快適な行動だと理解する。しかし欧米人には評判がよくないらしい▼日本人は人の話を聞くとき、無意識に相づちを打つ。それを見た外国のビジネスマンは、確実に「イエス」の意思表示と理解する。なのに契約になると首を横に振るからだ▼仏文学者の故多田道太郎さんによると、それは大いなる誤解で、日本人は理論と感情の世界を区別している(「しぐさの日本文化」講談社学術文庫)▼相手の感情に配慮し、柔和に対応する社会的な行動だという。同様の気遣いは欧州にも見られるが、米国では希薄らしい。何とも心地よい相づち「そだねー」。自国第一主義の大統領には到底、理解不能だろう。

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