今年5~6月に風邪をこじらせて以来、味覚が感じにくくなりました。何を食べてもほとんど味が分からず、舌先がひりひりして白いつばが出るようになり、口の中が渇いて1日に何度もうがいをするようになりました。かかりつけ医でうがい薬を処方してもらい、白いつばは減ったものの味覚は回復しません。分かるのは甘みに対してだけで、好きなコーヒーや肉、食パン、米類の味は分かりません。食事量も減り心配です。(福井県敦賀市、71歳女性)

 【お答えします】大澤陽子・福井赤十字病院耳鼻咽喉科部長

 ■感冒後味覚障害の治療、亜鉛食品や薬の服用必要

 風邪をひいた後に、味覚障害になったようですね。

 味覚障害の原因としては、感冒後のほかに亜鉛欠乏性、薬剤性、全身疾患性、心因性などがあります。感冒後味覚障害は感冒治療によって大半は回復しますが、炎症で味細胞が障害されると改善しません。亜鉛が欠乏すると味細胞は再生しにくくなります。感冒後、味覚障害は嗅覚障害を伴うことが多く、その場合風味を感じなくなります。

 亜鉛欠乏性はきっかけなく起こり、血液検査で亜鉛の量を測定して判明します。薬剤性は高血圧薬、狭心症薬、解熱鎮痛薬、消化性潰瘍治療薬などさまざまな薬剤が原因となり、服用開始後2~6週間でみられます。全身疾患性は糖尿病、腎障害、肝障害、消化器疾患のある人に起こります。薬剤性や全身疾患性は、結果として亜鉛欠乏になるために味覚障害になります。

 ですから、味覚障害の治療は亜鉛を含む食品や薬剤の長期間服用になります(約6カ月)。心因性は比較的多い味覚障害の原因です。心因的ストレスやうつ病などの精神疾患により起こります。心因性味覚障害は、舌痛や口腔乾燥、食欲不振を伴うことが多く、亜鉛を含む薬剤を服用しても改善しません。軽度の心因性味覚障害は漢方薬治療で改善することもありますが、抗不安薬や抗うつ薬の服用や、場合によっては心療内科や精神科による心理療法を必要とします。

 ■口腔乾燥や食欲不振、心因的ストレスか

 相談者の方は、風邪が治った後も味覚障害が残っています。味細胞の再生を促すために亜鉛を含んだ食品の摂取をおすすめします。亜鉛含有薬を処方してもらうのもいいでしょう。においもわからなく風味を感じない場合は、鼻の治療が必要です。高血圧や狭心症の薬をもらっている場合は、別の薬に変更してもらってはどうでしょうか。

 気がかりなのは舌痛や口腔乾燥、食欲不振を伴っていることです。心因的ストレスはないでしょうか。まず、かかりつけ医に相談してください。必要に応じて専門医に紹介してもらうことも大切です。

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