細胞膜の張りとイオンチャネル活性化のイメージ

 福井大学医学部の研究チームは12月21日、細胞膜上に存在しカリウムイオンを通過させる働きを持つ膜タンパク質「カリウムイオンチャネル」が、細胞膜の張りが強くなるほど活性化して通過しやすくなることを世界で初めて解明したと発表した。細胞内外の通り道になっている膜タンパク質を、物理的環境によって操作できる可能性があり、新たなメカニズムによる創薬が期待できるとしている。

 発見したのは同大医学部の岩本真幸助教(分子生理学)と老木成稔教授(同)。米科学誌電子版に3日(米国時間)掲載された。

 多くの物質は、細胞膜そのものを通過できず、イオンチャネルの穴から出入りする。現在市販されている医薬品の約7割が膜タンパク質を標的に作られており、イオンチャネルの構造解明は効率的な新薬開発に重要とされている。

 岩本助教らは、イオンチャネル周辺に常に発生しているごくわずかな張力に着目。人工細胞膜にカリウムイオンチャネルを組み込んだ実験で、この張力が穴を開けていることを初めて突き止めた。既に明らかになっていた、細胞内が酸性になると穴が開きやすくなるという化学的環境に加え、物理的環境も活性化に必要な条件と分かった。

 さらに、人工細胞膜にコレステロールが入り込むと、張力が小さくなり穴が閉じる現象も発見した。張力を大きくする方法の解明はこれからだが、特定の物質で張力を調節できるようになる可能性があるという。実験用に開発した人工細胞膜は、張力の大小を調整できる構造で新たな実験手法の確立にもつながった。

 岩本助教は「細胞膜を狙って膜タンパク質の活性をコントロールするという、これまでの概念になかった新しいタイプの薬が開発できる可能性がある。他の膜タンパク質でもいろいろな物質を試し、薬に応用できるかを探っていきたい」としている。

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