【論説】小浜市東部にある四つの小学校を統合し来春、小浜美郷(みさと)小が開校する。新たな門出の一方で、4地区では地元小学校が閉校となる。地域の誇りの一つである学校を失うことは痛手だが、半面、校舎を有効活用すれば地域づくりへの武器にもなる。官民協働で好機につなげてもらいたい。

 閉校となるのは遠敷、松永、宮川、国富の4校。児童数の減少と財政難から、2002年に検討が開始され、12年に4地区が合意した。4地区が1度に一つの校区になるという、県内では珍しい統合へと進みだした。

 小学校といえば、体育祭など住民が集う行事があり、体育館は住民スポーツの場としても活用されている。例えば松永小の昨年度の体育館利用実績をみると、1年間に284日にも上る。地域住民の拠点としての役割は大きい。

 また、ほとんどの地区住民にとって母校であり、思い入れがあるものだ。閉校が決まって以降、各地区では学校の記憶を残そうと、校歌をCD化したり、名所を映像記録として残すなどの活動を繰り広げてきている。

 閉校後の校舎利用については、今年夏ごろには一時期、維持管理について不安視する声もあったが、その後、住民との協働による活用が模索されるようになった。市だけでの管理には財政的に限界があるとして、住民の協力が可能かが焦点となっている。各地区で検討会が組織され、年度内に結論を出すべく論議されている。

 学校がなくなるのは寂しいことだが、一方で校舎が空くことは、自在に使える施設が新たにできることを意味する。同じく閉校になった田烏小の校舎では、地元グループが特産の「サバのへしこなれずし」作りに使用。さらに、地元で育てている養殖サバの処理場などへの活用も計画されている。身近にこういった好例があるのはたのもしい。

 小学校が統合される4地区でも、住民による地域づくり活動が盛んだ。例えば宮川地区では、転作田を活用し広大なヒマワリ畑を展開。開花時期には毎年、観光バスが続々訪れるほどだ。他にも観光地としての材料は豊富で、校舎を使ったいろいろなアイデアが生まれそうだ。

 各校舎には自然災害時の避難所の役割もある。維持管理への不安から、一時は避難所指定取り消しの可能性も指摘されたが、日頃の清掃など管理がなされれば緊急時の避難所開設は可能だ。防災の観点からも存続は重要となっている。

 校舎は住民にとって価値のある建物。市と住民が力を合わせ、さらなる地域の発展へとつなげていくことを期待したい。

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