【越山若水】フィギュアスケートのジャンプ着氷を間近で見るとどんな印象なのか。熱心なファンに音で表現してもらったら「ズドオオオーン」だという。華麗なイメージとは違い、選手の足は相当な衝撃に耐えている▼着氷は多くが右足になるそうだ。羽生結弦選手もほぼ全部のジャンプを右で下りる。その右足首を負傷し、開催中の全日本選手権に出られなくなった▼長年の競技で靱帯(じんたい)が伸び、関節を十分支えられない。本人によると「足首が緩い」状態だ。それでも先月のGPロシア杯はフリー演技に強行出場、すでに痛めていた右足で10回ぐらいは着氷した▼逆境にむしろ燃えたのだろう。負けん気の強そうな羽生選手らしいといえばいえるが、これが元で今もリンクに戻れないのは残念だ▼同い年で、今年肘を手術した米大リーグ大谷翔平選手も無理をしそうな感じがある。足のけがで全力疾走を止められていながら試合で思いきり走ってしまい、悪化させたことが過去にあった▼責任感の強い若者たちだから、置かれた状況の中でどうしても力を尽くそうとする。周囲が止めてあげるのは難しかったのだろうか▼選手をけがからどう守るか、スポーツ界全体で考えたい課題だ。故障に苦しんだ両選手だが、ファンにすればパフォーマンスを同時代に見られること自体が幸運といえるほどの逸材。しっかり身体を戻してほしい。

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