越前和紙を使ったタンブラーを開発、販売しているガソリンスタンド店主の林直樹さん=福井県越前市の林石油店

 福井県越前市今立地区の個人経営のガソリンスタンド(GS)が、伝統工芸の越前和紙を使った着せ替えタンブラーを開発し、店舗で販売を始めた。県内GSの廃業が相次ぐ中、店主の男性は「GSはライフラインとしてなくてはならないもの。店舗に付加価値を付けながら、地域のコミュニティーの場として生き残っていきたい」と話している。

 同市の林石油店の林直樹店主(61)は「地元の魅力発信に貢献したい」と、中小企業の経営相談に乗る県よろず支援拠点の専門家らに相談。1年ほど前に料理家の女性から、外装の紙を入れ替えられるタンブラーに越前和紙を活用するアイデアを得た。

 製紙業に携わる地元の女性グループ「越前女紙倶楽部(めがみくらぶ)」や福井市内のデザイナーと連携し、温かみがあるデザイン15パターンを考案。和紙は質感の違う7種類を用意し、11月から販売を始めた。同じデザインでも、和紙を変えると違う表情が楽しめるという。

 店舗ではタンブラーのほかにも、県内のご当地サイダーや林さんが選んだ県外の特産品、書籍などを販売している。給油しなくても本が読めたり、コーヒーが飲めたりするコーナーもある。

 県石油業協同組合の統計によると、1989年に503カ所だった県内GSは、昨年時点で207カ所まで減少。特に後継者不足や価格競争の厳しさから郊外の個人店が減っているという。

 「農家が草刈り機の燃料を買うにもひと苦労している。今年の大雪のような災害時のためにもGSは必要な場所」と林さん。個性的な店舗づくりは、そうした危機感からの挑戦で「GSをもっと面白い場所にしたい。全国の小規模店がつながって、地元の逸品を売るネットワークを作ってみたい」と前を向いている。

 タンブラーは1個1620円(税込み)。着せ替え用の和紙は1枚540円(同)。問い合わせは林石油店=電話0778(43)7777。

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