命の大切さを考える道徳の授業で、プロジェクターに映し出された絵本「赤い首輪」を見る生徒=12月20日、福井県鯖江市

 飼い主の飼育放棄による犬の殺処分をテーマに福井県鯖江市の中学2年生の吉崎莉菜さん(14)が制作した絵本「赤い首輪」を題材にした道徳の学年授業が12月20日、同市内の中学校で行われた。約310人が同級生の描いた「一匹の犬の悲しい一生」を通じ、命の大切さを考えた。

 「赤い首輪」は、犬や猫の殺処分に疑問を感じたり、報道などで劣悪な飼育環境の「子犬工場」の存在を知ったりした吉崎さんが1年以上かけてストーリーを考え描いた。ペットショップで購入された柴犬「サクラ」の視点で、家族として迎えられる日から殺処分されるまでを描いている。最初は飼い主にかわいがってもらっていたが、「仕事が忙しくて世話が出来ない」と保健所に連れて行かれ、ガス室で処分される。

 授業では同校教諭が絵本を朗読した。保健所にサクラを引き取らせるシーンで、「処分されることになりますがいいんですか」という職員の問いかけに飼い主が「いいです」「本当にいいです」と応じる様子を感情を押し殺したり、声を振り絞ったりして読み上げた。

 朗読後、生徒たちは「飼い主に事情があったら(殺処分に)納得できるか」など、サクラの立場になって考えた。「日頃、命について考え、大切にしているか」との別の教諭の質問には、「人間以外の動物の命のことを考えたことはない」「自分の育てたい植物を優先し、雑草を取っている」といった意見が出ていた。

 授業終盤に坂井市在住のシンガー・ソングライター、ヒナタカコさんの「ひとつの星で」が流された。「生きとし生けるもののすべてに意味は宿る」「与えられた命でみんな生かされている」などと訴える歌に聞き入った。

 授業を終えた生徒からは「なくなった命や『モノ』として人間に扱われている命について、何ができるか考えたい」「飼っている犬を責任を持って育てる。命の大切さを考えながら動物に接していく」の声が上がっていた。

 吉崎さんは「自分と同じ気持ちや考えの人が増えてくれたらうれしい」と話している。

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