【越山若水】小学生のころ、校区内に映画館が3館あって、通学路の途中にもポスターが掲示されていた。今の館名はカタカナが全盛だが、3館は「○○劇場」と呼ばれていた▼長期休みには、学校で配られた割引券を手に近所の子と誘い合わせ劇場へ行った。たいていクラスの誰かが窓口に並んでいた。映画が地域密着の娯楽という恵まれた環境にいた▼上映されたのはゴジラなどの怪獣映画、そして東映まんがまつり。筆者が通ったのは1970年代の話で、まんがまつりのメインは仮面ライダーやマジンガーZだった▼当時もアニメや特撮作品は毎日のようにテレビでやっていたが、やっぱり映画館で見ることには特別感があった。割引券が配られる日、見に行く予定がないというクラスメートから券を集めて回る抜け目ないやつまでいた▼やがて高学年になると見る映画が少しずつ変わっていった。覚えている中では「ジョーズ」や「エクソシスト」がある。これも友達と見に行った▼こうしてみると、映画館を訪れる行動を自分につくったのはまんがまつりなのかと気付く。それを東映が来春29年ぶりに復活させる▼今、アニメ映画は格段に増えたがスクリーンで数本まとめて観賞するのは非日常の喜びがあるに違いない。全国ロードショーで、福井上映も期待できるだろう。子どもたちの記憶に残る映画館体験になるといい。

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