JR貨物が来年4月で廃止することを決めた敦賀港線=12月19日、福井県敦賀市金ケ崎町

 JR貨物が、2009年から休線にしている敦賀港線(敦賀駅-敦賀港駅間2・7キロ)について、来年4月1日付で廃止する届け出を12月18日に国土交通省中部運輸局に行ったことが分かった。運行再開に見合う貨物需要が今後も見込めないと判断した。明治時代以降の敦賀港の繁栄とともに歩んだ歴史に、正式に終止符を打つことになる。

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 敦賀市は福井県とともに、金ケ崎周辺の港線の一部などを使い、鉄道遺産を活用して蒸気機関車(SL)を走らせる計画を進めている。廃線届け出について、渕上隆信市長は福井新聞の取材に対し「休線では(JR貨物との)用地交渉がなかなか進まなかった面があったが、これで県と一緒に交渉を進めていける」と前向きにとらえた。

 港線の歴史をひもとくと、金ケ崎(敦賀港)―長浜間が1882(明治15)年に日本海側で最も早く開通。敦賀港駅はウラジオストク直通航路、シベリア鉄道とつなぐ「欧亜国際連絡列車」の基地として繁栄した。

 国鉄が民営化された1987年以降はJR貨物の専用線となり、最盛期の輸送量は同年度の約25万5千トン。しかし2006年度には1万9千トンにまで低迷する赤字路線となり、JR貨物は列車の運行休止を決めた。

 09年度以降もJR貨物は敦賀港駅エリアで荷役業務を行い、トラックでの貨物の代替輸送を続けているが、輸送量は伸びていない。港線は現在、23年春の北陸新幹線敦賀開業に向け、JR北陸線の分岐点から約300メートル区間のレールをはがして工事用道路に使われるなど、廃線手続きは時間の問題だった。

 港線の一部を利用した市の鉄道遺産活用計画は、JR敦賀駅構内にあった県が保存する転車台を設置し、敦賀港駅付近から西側330メートルの区間で、太陽光エネルギーを活用した客車付きSLを走らせるもの。新幹線開業時までの供用開始を目指している。

 計画地の用地交渉で、JR貨物側は敦賀駅付近までの港線全線の敷地を買い取るよう求めており、市や県は打開策を迫られている状況だ。JR貨物の広報担当者は、廃線届け出と用地交渉の関係について「リンクはしていない」としつつ「今後の用地やレールの取り扱いなどは、地元の関係自治体と引き続き協議していく」と話した。

 敦賀港駅での荷役業務、トラック輸送は廃線後も継続する方針。

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