2011年にガラス製に生まれ変わったステンドグラス=福井県福井市の福井地裁(裁判所の許可を得て撮影)

 福井地裁・家裁(福井県福井市)の正面玄関ホールには、鮮やかに透き通る高さ約8メートル、幅約4メートルの巨大なステンドグラスがある。文化勲章受章者の画家堂本印象(いんしょう)(1891~1975年)の「楽園」が原画だ。倉田慎也所長(62)は「裁判所の庁舎の中にステンドグラスの大作、それも芸術作品があるのは、わが国でここだけではないでしょうか」とみる。

 ⇒【画像】福井地裁の外観

 高く伸びた4本の木の枝で8人の音楽天使が思い思いに楽器を演奏し、木の下では労働や読書、子育て、親孝行などの生活を営む人たちが家畜や虫とともに牧歌的に描かれている。印象は「裁判所は世の罪人が裁かれる場所で、この聖なる情景によって悪霊が浄化されることを祈る」との意味を込めたとされる。

 印象は京都生まれ。1951年に旧最高裁大法廷の壁画「聖徳太子憲法御宣布」、74年には現最高裁大会議室の壁画「豊霊」を制作し、裁判所とはゆかりが深い。

 福井地裁庁舎は戦災や福井地震後の54年に落成し、市民にとって復興のシンボルとなった。ステンドグラスは翌55年、福井市から「平和の象徴を顕彰した絵を入れ、一層親しまれる裁判所に」(当時の寄贈文より)と贈られた。

 アクリル樹脂製だったが、劣化したため2011年、ガラス製に作り直した。原画を元に京都府立堂本印象美術館の学芸員やガラス作家らが打ち合わせを重ね、鮮やかな色調を再現した。

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