イカの煮付けを作る北川巖さん=福井県坂井市春江町江留上中央のはるせん大和店

 福井県坂井市の総菜店で99歳の男性が調理師として週6回、元気に働いている。魚の煮付けなどを作り、70年余りの調理人生で培った絶妙な味付けで多くの固定客をつかんでいる。病気知らずの男性は「100歳までと言わず、まだまだ仕事を続ける」と意気盛んだ。

 県シルバー人材センター連合は「90代で働く方は県内でも少なくないが、99歳は聞いたことがない」としている。

 男性は北川巖(いわお)さん=同市。総菜販売の「はるせん大和(やまと)店」で月曜~土曜の午前7時半~正午に働いている。

 北川さんは、尋常小学校卒業後に織物工場に就職。フィリピンからの復員後の1947年、はるせんの前身である家業の鮮魚・仕出し店を継いだ。

 鮮魚販売のほか、調理師免許も取得し刺し身や焼き魚、魚の煮物などの仕出し料理を手掛けてきた。65歳で大病を患って経営の一線から退いた後も、調理師として厨房に立ち続けている。

 担当するのは、イカやカレイの煮付け、メギスの塩ゆで、サバやイワシのぬた。絶妙な味付けとゆで具合で地域の食卓を彩ってきた。視力、聴力の衰えはあるが足腰もしっかりしており、調理を終えると陳列作業に積極的に加わる。

 自らが作る料理は、仕入れ価格や曜日を踏まえ、作る数や値段、1パックに入れる量を決める。長女の千津子さん(70)は「長年の経験でその日の売れ行きが分かるのか、売れ残ることはほとんどない」と話す。

 大病後は「風邪もひいたことがない」。魚を中心に3食をきちんと食べて睡眠も十分。飲酒も喫煙もせず、規則正しい生活を過ごしている。「趣味は魚と仕事」と言い切る北川さんは来年6月で100歳。他の従業員からの厚い信頼を胸に「まだまだ仕事はやめんよ」と笑顔を見せる。

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