自身の経験を踏まえ発達障害や不登校の相談に応じている野村昌宏さん=福井県福井市の県発達障害児者支援センター

 福井県発達障害児者支援センタースクラム福井の副センター長を務める野村昌宏さん(42)=福井県福井市=は、小学6年で不登校になり、中学校は2日しか登校せずひきこもった。30歳を前に一念発起して大学に入り、働きながら社会福祉士や精神保健福祉士の資格を取った。発達障害の相談者は不登校の子どもや保護者が多く「当時の自分の気持ちを振り返りながら、幸せというゴールを目指して一緒に悩み、考えている」と語る。

 母子家庭で育った野村さんは、男性教員からの体罰をきっかけに小6の2学期から学校に行かなくなった。「先生が同級生を怒っているのを聞きたくなくてぼーっとしていたら突然質問された。あてずっぽうで答えたら頭突きされて頭が真っ白になった」。保育園のころから登園を渋り、小学校も休みがちだったが、この“事件”で気持ちが切れた。

 市営団地の自宅に引きこもり、パソコンで対戦ゲームをプログラムして遊んだり、電子オルガンを小さな音で弾いたりする毎日。中学校は入学式こそ出席したがすぐに行かなくなった。「学校に対する不安や嫌悪感があった。学校に行かないことで家族を苦しめていることが負い目で、自分を責めていた」と振り返る。卒業後は高等課程がある福井市内の専門学校に通ったが続く専門課程で中退し、職を転々とした。

 結婚を機に一念発起し、28歳で東京福祉大の通信課程に進んだ。4年間で8年分学ぼうと卒業に必要な単位の倍近くを履修登録し、平日は衣料店で働きながら勉強、土日は名古屋市や群馬県のキャンパスに通った。4年間で220単位を取得し、社会福祉士、精神保健福祉士、高校福祉科の教員免許、特別支援学校の教員免許を取った。

 発達障害の相談員となって10年になる。不登校だった過去は「どろっとした感覚が常にまとわり付いている感じ」と表現し、相談に対しては「自分が経験しているだけにつらい気持ちは分かるが、それだけでは問題は解決しない。学校に行けるようになることがゴールなのか迷うことも多い」と打ち明ける。学校での集団教育になじめない子どものために「民間のフリースクールのような、学校以外の居場所づくりを広げる必要がある」と強調した。

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