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 若く美しい5人姉妹に託して女性解放をうたった『裸足の季節』で注目されたトルコ出身の女性監督デニズ・ガムゼ・エルギュヴェンの長編第2作。1992年に起きたロサンゼルス暴動を、巻き込まれた家族の視点から描いている。主人公は、家族と暮らせない子供たちを預かり、貧しくも愛情を持って育てている実在の黒人女性だ。

 ロス暴動とは、人種差別や移民問題に根差した黒人による大規模暴動。そんな今の時代を照射する社会派要素からは、エルギュヴェン監督のブレない作家性が感じられるが、今回はハル・ベリー主演×ダニエル・クレイグ共演による“俳優の映画”でもある。そのことが、この社会派映画をいびつにした。

 恐らく裏テーマは、カサヴェテスだろう。つまりエルギュヴェン監督が目指したのは、俳優との共犯的なコラボ。そう思わせる際たる例が、二人がスーパーマーケットの駐車場に手錠でつながれるシーンだ。家に帰さないための時間稼ぎにしては不必要に長い上に、ここだけコミカルだから。とはいえ、カサヴェテスの『フェイシズ』『こわれゆく女』、最近だと濱口竜介監督作『寝ても覚めても』での演劇談義のような演技の化学反応が独特の空気感を生む次元には至っておらず、単に他のシーンから浮いてしまっているだけ。発想や二人のやりとりは確かに面白いのだが、ハリウッド的な編集が台なしにしてしまったように思う。もし成功していたら、ひるがえって中盤の妄想ベッドシーンにも味わいが出ていたのに。失敗しているが意欲作だし、このいびつさを楽しんで! ★★★☆☆(外山真也)

監督・脚本:デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン

出演:ハル・ベリー、ダニエル・クレイグ

12月15日(土)から全国公開

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