斜面に設置された観測機器。傾きが変わると黄色や赤色に点滅して土砂災害の前兆を知らせる=福井県福井市高須町

 高齢化が進む山間集落の地域防災力を高めようと、関西大学社会安全学部のチームが福井県福井市高須町で実践調査に取り組んでいる。土砂災害の前兆を簡単に観測できる機器を設置したほか、地域の防災情報を伝える「瓦版」を毎月のように全戸に配布。防災を生活に溶け込ませるアプローチで住民の意識向上を図っている。

 チームは近藤誠司准教授(災害情報)と小山倫史准教授(地盤災害)、それぞれのゼミに所属する学生で構成。山間集落では高齢化の進展が著しく、もともと抱える土砂災害へのリスクに対して脆弱性が高まっていると指摘する。そこで、訓練や講話など従来の啓発方法を見直し、日常生活に取り入れるという観点から地域防災力の向上策を研究することにした。

 実践調査は▽危険や情報の可視化▽防災の日常化▽住民の主体的関与―の3点をテーマに掲げ、2017年夏にスタート。住民への聞き取りでは災害への危機意識が高くない傾向にあることが分かった。

 一方、冬に作り置きする伝統的な保存食「寒餅」や集落を流れる湧き水など、災害時に役立つ地域の知恵や強みも見つかった。瓦版は「たかすいかす」と題し、出水期の注意や家具の固定を呼び掛けるとともに、暮らしに溶け込んだ知恵を改めて紹介している。

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