【論説】あわら市の北潟湖の環境保全・再生に取り組む北潟湖自然再生協議会が先月発足した。自然再生推進法に基づく法定協議会として、三方五湖に続き県内2例目。年度内に水質改善、生態系の保全・再生など五つの柱からなる全体構想を策定し、来年度に実施計画を作る。風光明媚(び)な北潟湖は大切な観光資源でもある。漁業や農業とのバランスを取りながら、ベストな古里像を探ってほしい。

 北潟湖は嶺南の水月湖、三方湖に次いで県内3番目の広さ。越前加賀海岸国定公園に含まれ、「日本の重要湿地500」(2001年)、「生物多様性保全上重要な里地里山」(15年)にも選定されている。フナ、ウナギ、コイなどが取れ、江戸時代はカキの養殖も行われた。

 昭和30年代ごろまでは水が透き通り、子どもたちが泳ぐ姿も見られた。水質汚染が顕著になったのは同40年代から。周辺で農業の土地改良が盛んに行われ、化学肥料などによる富栄養化が急激に進んだ。潮止めに設けられている開田橋の影響もあるとされる。また、湖岸整備は安全な生活をもたらした一方、水草やトンボなど多様な水辺の生き物に影響を与えた。近年は外来種の蔓延(まんえん)が生き物をさらに減少に追いやっている。

 こうした状況を受け、個々に活動していた市内の環境保護団体や研究者、地元住民らが13年に北潟湖自然再生の連絡会を立ち上げ、14年3月に任意の協議会を設立した。自然再生推進法に基づく協議会は、これがベースとなった。国の専門家会議の助言が得られるほか、国や県の財政的な支援がより期待できるようになり、長期的な取り組みが可能となる。

 市が14年に湖の周辺など17区の約600人に行ったアンケートによると、「北潟湖を良くしたいか」との問いに対し「強く思う」「まあまあ思う」が10代で80%以上あった。地元団体などが積み重ねてきた環境教育の成果といえる。一方で、北潟湖の魚を食べたことが「ある」と回答したのは10代で23%にとどまり、若い世代の湖との関わりが少なくなっていることが分かった。息の長い取り組みにするには、主体となる住民一人一人に食文化などの魅力を再発見してもらうとともに、北潟湖の「危機」を真剣に受け止めてもらわなければならない。

 そのために、短期的に目に見える成果を上げていくことも重要だ。北潟国有林や北部丘陵地など豊かな地域資源を生かして、グリーンツーリズムやエコツーリズムといった活用を掘り起こし、経済に波及させていくことも一体的に考える必要がある。住民の誇りを醸成し、未来につながるビジョンを描いてほしい。

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