福井県警=福井県福井市

 福井県福井市内で薬物事件の家宅捜索中、逃走した男を制止しようとした際に福井県警が捜索差し押さえ許可状(令状)を紛失した問題で、紛失したのはクリアファイルに入れていた令状と令状請求書計12通だったことが12月7日、県警への取材で分かった。当時、現場には捜査員が10人いたことも分かった。令状の再発付を受けて家宅捜索は終えており、県警は「捜査に大きな影響はないが、重く受け止める」としている。

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 県警刑事企画課によると、県警が令状を紛失した例は過去にないとみられる。紛失した令状に関する市民からの通報はなく、第三者への情報漏えいは確認されていない。

 捜査員らは11月28日、覚せい剤取締法違反容疑で家宅捜索するため、福井市の自動車整備工、寺島貴志容疑者(45)=公務執行妨害と傷害容疑で逮捕=の自宅兼職場を訪れた。

 令状などを管理していた男性捜査員は、令状6通と令状請求書7通の計13通をクリアファイルに入れて手で持っていたが、任意で事情を聴かれていた寺島容疑者が突然乗用車に乗り込み発進させたため、必死でその場にとどめようとした。現場が緊迫し混乱する中、数分後にファイルから書類がなくなっていることに気付き、現場に戻り探したところ、請求書1通のみ周辺の路上で見つかった。

 令状には寺島容疑者の氏名や容疑名、捜索すべき場所などが書かれていた。令状請求書にはいつ、どこで、何をしたかの事件に関わる事実などが記載されていた。逃走した車内に落ちた可能性もあるという。令状は紛失した日に裁判所へ再請求し、家宅捜索は翌日あらためて行った。

 刑事企画課長の高山徹也・刑事部首席参事官は「混乱した現場とはいえ、紛失したことは誠に遺憾。今後は書類管理や突発事象発生時の対応について指導を徹底する」とのコメントを出した。

 紛失の公表を控えていた理由について同課は「薬物関係の捜索場所や容疑者が特定され、共犯関係や背後関係の捜査に支障を及ぼすため」などとしている。

 県警は、寺島容疑者の逃走手段や足取りなどについても詳しく調べを進める。

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