被災ナシを使ったカレーを考案したナシ農家の近藤美香さん(右)と井手孝美さん(左)姉妹=福井県坂井市

 福井県坂井市のナシ農家が、台風21号で落果したナシを使ったレトルトカレーを開発し、販売を始めた。地元の菓子店がピューレにしたナシに地元畜産農家の若狭牛のミンチを組み合わせ、フルーティーでスパイシーな一品に仕上げた。「坂井市の新たな特産品になれば」と期待している。

 開発したのは「近ちゃんふぁーむ」の近藤美香さん(29)、井手孝美さん(27)姉妹。40アールで幸水や豊水を栽培している。

 同農家では、9月の台風21号で出荷前の豊水約6千個以上が落果、市場に出荷できなくなった。市からの提案で、ナシに入った傷をえくぼに見立て「にっこり美梨(びなし)ちゃん」の名称で同月5日に返礼品として登録。2日間限定でふるさと納税ポータルサイト「ふるさとチョイス」で受け付け、約1800個以上を廃棄することなく全国へ発送した。

 ただ、傷みの激しいナシは返礼品にすることができず、廃棄処分を覚悟していたとき、同市の菓子店「Sourire(スリール)」から「ピューレにして冷凍保存してあげる」と声が掛かった。

 姉妹は「成長を見守ってきた自分たちの子どものようなもの。何とかお客さまに届けられないか」と思案。「ナシをいつもとは違った味わい方で楽しんでもらえるのでは」と、姉妹が家庭で長年親しんできたナシ入りカレーの販売を思いついた。

 畜産農家「サンビーフ齋藤」(同市)にも協力を依頼。ピューレと若狭牛のミンチを使用し3、4回の試作を経て完成にこぎ着けた。「若狭牛 美梨カレー」と名付けた。

 姉妹は「1年掛けて育ててきたナシが落果したときは本当に悲しかったが、地元のみんなの協力でおいしいカレーができた。ぜひ味わってほしい」と話している。

 同県あわら市のJA花咲ふくいの農産物直売所「きららの丘」内のパン屋「ぱんの種」、坂井市ゆりの里公園の農産物直売所「ゆりいち」で販売している。同市のふるさと納税の返礼品にもなっている。

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