救急病棟で亡くなる当事者を、仮想現実で体験した参加者=12月6日、福井県福井市二の宮3丁目の「いろどり」

 終末期を迎えてからの心肺蘇生などを仮想現実(VR)で体験し「看取(みと)り」について考える研修が12月6日、福井県福井市二の宮3丁目の介護事業所「いろどり」で行われた。最期の迎え方を誰がいつ決めるかなどを議論。元気なうちから死について家族や仲間と話し合っておく必要性を学んだ。

 高齢者住宅運営のシルバーウッド(本社東京)が、厚生労働省の委託を受け、全国12カ所で研修を実施している。県内では同事業所などを運営するシンカイ(福井市)が選ばれた。

 研修には、施設利用者の家族や医療、介護関係者ら約30人が参加した。ゴーグルを着け、救急車で病院に運ばれ心肺蘇生を受ける当事者をVRで体験。心臓マッサージを受けている時は、肋骨(ろっこつ)が折れる音が聞こえた。この後、医師が家族に確認した上でマッサージを中止した。

 講師でシルバーウッド社長の下河原忠道さんは「救急病棟に行くことは、治療を受ける選択をしたということ。元気なうちから、『何もしない』という選択を含め、本人の意思を確認しておくことが大切」と話した。

 老衰で亡くなっていく施設入所者に寄り添う介護職員のVR体験もあり、本人の希望や価値観を、職員と家族が共有しておく大切さを学んだ。

 体験後は6班に分かれて意見交換。「家族が(心臓マッサージの継続か中止を)決める状況はつらい」「死について話し合ってなければ、どうしたって救急車を呼んでしまう。その先(治療)のことなど想像できない」といった意見があった。

 厚労省の死亡場所の調査で、1951年は自宅82・5%、病院11・6%だったが、2010年は自宅12・6%、病院80・3%と逆転している。

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