【論説】われわれにとって最も重要なインフラである水道。その運営を巡る改正法が問題を多くはらみつつ成立した。審議などを通じ、事業者である市町村だけでなく国民もその将来像を考えるきっかけにはなった。問題点を忘れることなく、持続的な水道事業を築いていきたい。

 背景には、人口減少による利用減や水道管など施設の老朽化といった切迫した状況がある。利用量は40年後、ピークの2000年に比べ4割減るとされる。水道管の約15%が40年の法定耐用年数を超えたまま放置されているという。

 原則、独立採算制をとる水道事業は、利用料金で運営されている。現状でも事業者の約33%、利用人口1万人未満の小規模事業では約半分が赤字になっている。地震や豪雨など自然災害による被害も全国的に相次いでいる。施設の更新や復旧にかかる費用などで、経営は今以上に厳しいものになるのは明らかだ。

 改正水道法は、そうした現状を踏まえ、事業の基盤強化を図る狙いがある。民間を活用したり、広域連携したりするのが柱だ。

 このうち、民間活用には大いに問題があることが分かった。自治体が水道施設の所有権を持ったまま、運営権を長期間、民間企業に売却する「コンセッション方式」は、コスト削減へ民間の経営ノウハウを生かすものだが、地域の独占企業となるだけに値上げの懸念も強い。

 自治体との契約で民間企業側が一方的な値上げはできないとされるが、海外では料金の高騰や、過剰なコスト削減による水質低下などで再公営化されるケースが相次いでいる。自治体側のノウハウが断たれることで、監視が行き届かなくなる恐れもある。災害時に責任を負う自治体は対応しようにも術(すべ)がなくなる。民間に任せれば解決につながるという政府の発想には疑問符が付く。

 もっとも、民間企業にしても利益の出ない事業に簡単には乗ってこないだろう。導入は利用人口の多い都市部に限られるとの見方が大勢だ。福井県内でも全市町が民間活用には慎重な姿勢を見せている。導入に前向きな宮城県などが今後、どう取り組むのか、注視する必要がある。

 柱のもう一つの広域連携は現実的な対応といえるのではないか。自治体間の料金の違いなど、ハードルがあることは否めない。香川県では今春、ほとんどの市町による企業団で供給を一元化。老朽化施設や職員を減らすことで、将来の料金下げを目指している。こうした事例を参考に県内でも模索する必要がある。県が旗振り役となり、広域化計画の策定などを推進してもらいたい。

 相応の負担を覚悟しないと潤沢に水を使える時代でなくなったことを、われわれは実感している。だからといって自治体は野放図に値上げが許されるわけではない。官民が厳しい現実を踏まえて、ともに将来像を共有し、次世代に残していかなければならない。

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