【越山若水】落語家の立川志らくさんが「大ばか者だ」と憤慨していた。全くだ。横綱に殴られてけがをした当の本人が、今度は付け人の弟弟子を殴るなんて。乱暴者の熊さんじゃあるまいし。全く▼暴力を振るわれる痛みや悔しさを誰より知ったはずではなかったのか。やむなく本場所を全休し、転落した十両で優勝した不屈の姿勢に拍手を送ったのに▼母国のモンゴルで家族が非難にさらされ、親方の引退で部屋を移り…と酌むべき事情は数多い。それでも隠忍自重すべきだとは、貴ノ岩自身もよく分かっていただろう▼なのに手が出てしまった現実が問題だ。角界の暴力はやはり日常だったかと思わせる。日本相撲協会は10月に暴力決別宣言をしているが、もはや精神論では手に負えないようだ▼「アンガーマネジメント」というのがある。わき上がる怒りの感情をどう制御するか、その技術が詰まっている。一端を小紙も以前、連載で紹介している▼筆者の専門家によれば、大前提は他人も自分も傷つけない、モノを壊さないこと。この出発時点から貴ノ岩も角界も落第だから、よく学ぶべきだ▼と書きながら、自省した。「~べき」との理想を他人に押しつけるのも怒りをもたらす理由だそうだから。理想は期待になり、それに外れると許せずに怒るのだとか。当方も危ない。この短い拙稿のなかにも「べき」が一つ、二つ…。

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