【論説】地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の実施ルールづくりが大詰めだ。ポーランド・カトウィツェで14日まで開かれている国連気候変動枠組み条約の第24回締約国会議(COP24)は、3年間にわたったルール交渉の期限とされているからである。ただ、先進国と発展途上国の間の対立が解消されておらず、会議の行方は楽観できない。予定通り2020年の協定始動に向け、日本は確固たる決意を示すべきだ。

 先進国側は、温室効果ガスの排出を増やしている途上国の対策が不可欠だとして、目標設定や報告、検証方法で統一的な厳しい基準を主張している。これに対し途上国の一部は、過去に大量に排出してきた先進国に、より厳しい内容にするよう訴えている。妥協は容易でないが、温暖化の影響は深刻化かつ加速しており、結論を先送りしている余裕はない。ぜひ今回会議で対立を乗り越えたい。

 パリ協定は、気候変動枠組み条約に加盟する197カ国・機関全てが参加し採択されたもので、成り立ちとしては画期的だが、内容には課題が多い。例えば、産業革命前からの気温上昇を「2度より十分低く保ち、できれば1・5度以下に抑える」との全体目標に向け、各国が提出している温室効果ガスの削減目標は、そのすべてが達成されても、今世紀末には気温上昇が3度近くになってしまうレベルだという。削減量の上積みが急務になっているといえる。

 そうした状況で、運用のルールについても今回会議で合意のめどが立たなければ、温暖化防止の機運は一気に後退しかねない。協定は重要な局面に置かれている。

 日本は、来年の20カ国・地域(G20)議長国として議論をリードする立場にあるが、気がかりがある。日本は高効率石炭火力を排出削減対策の一環と位置づけ、今も国内に30基以上の石炭火力発電所の新増設計画を持つ。1年前のCOP23で25を超える国や地域が脱石炭火力宣言をした中、潮流に明らかに反している。

 高効率化で排出量は削減されるというが、それでも他の化石燃料と比較し優位とはいえない。推進する経済産業省に対し、四国電力の石炭火力発電所計画の環境影響評価(アセスメント)意見の中で環境相は11月、「パリ協定の下、石炭火力は今後是認できなくなる恐れがある」と指摘したところである。

 協定離脱を表明している世界2番目の排出国、米国が、G20首脳会合で離脱の決意を執拗(しつよう)に強調した態度も会議に影を落とす。しかし、温暖化対策は経済に悪影響を及ぼす、との米政権の主張は周回遅れのもの。対策に積極的な企業はむしろ、ビジネスチャンスを見いだしている。

 締約国は今回会議の機を逃さず、脱炭素化の道筋を明示しなくてはならない。そして日本は、削減目標のさらなる深掘りを目指す姿勢を示すなど、会議成功に貢献できるかが厳しく問われている。

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