ADHDの脳の構造に関する研究のイメージ図(福井大学提供)

 気が散りやすい、落ち着きがないといった注意欠陥多動性障害(ADHD)の子どもは、脳の特定の部位に特徴が現れることを、福井大学子どものこころの発達研究センター(福井県永平寺町)の友田明美教授、ジョン・ミンヨン特命助教らの研究チームが人工知能(AI)による解析で明らかにした。現在は専門医の面接や症状のチェックリストで行われている診断の精度向上、治療効果の確認につながる成果としている。

 国立研究開発法人科学技術振興機構との共同研究で、現地12月3日付の英科学誌電子速報版に掲載された。

 友田教授らは、ADHDと診断された福井県内の7~15歳の39人と、ADHDや他の精神疾患がなく年齢や知能指数が同程度の34人の脳構造を、磁気共鳴画像装置(MRI)で撮影。脳全体を148の領域に分け、それぞれの領域で皮質と呼ばれる部分の厚みや面積をAIで解析した。

 この結果、ADHDの場合、人の意思決定に大きな役割を果たす眼窩前頭皮質外側など16領域の皮質の厚みと、11領域の皮質の面積に特徴が現れ、全体としてADHDかどうかを74~79%の精度で識別できると結論付けた。

 また、米国や中国のADHDの子どもの脳画像データを使って同様の解析を行ったところ、73%の精度で識別でき、国際的な診断指標に応用できる可能性があるという。

 研究チームのミンヨン特命助教は「MRIの検査は短時間で負担も少ない。脳科学的な指標ができれば、診断の精度向上につながる」と話している。今回の研究は男児が対象で、今後は女児のほか、幼児や成人など幅広い年齢層、知的障害などにも広げる方針。

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